日本化学療法学会雑誌
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男子淋菌性尿道炎由来淋菌の各種抗菌薬に対する感受性
1999~2004年分離株の比較
各務 裕遠藤 勝久鈴木 博雄清田 浩小野寺 昭一
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2005 年 53 巻 8 号 p. 483-487

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抄録

1999年から2004年までに東京慈恵会医科大学附属病院ならびに首都圏の関連病院を受診した男子淋菌性尿道炎患者の尿道から分離されたNeisseria gonorrhoeae 277株と咽頭から分離された4株, 計281株のcefixime (CFIX), cefterampivoxil (CFTM-PI), ceftriaxone (CTRX), cefodizime (CDZM), spectinomycin (SPCM), levofloxacin (LVFX) に対する抗菌薬感受性を測定し, 年次的推移を検討した。さらに, これらのうちCFIXに対するMICが0.5μg/mL以上の10株を対象として, その遺伝子パターンをpulsed峨eldgelelectrophoresis (PFGE) により解析した。2004年における各抗菌薬に対する耐性菌の割合はCHXでは5.9%, CFTM-PIでは20.8%そしてLVFXでは80.2%であったが, CTRX, CDZMそしてSPCMに対する耐性株はなかった。2004年に分離された淋菌に対する各抗菌薬のMIC90は2003年と比較してほぼ変化がなく, 経口セフェム系薬の耐性も特に進んでいなかった。咽頭由来淋菌4株のMICは尿道由来株と比較して1管程度高い値であった. β-lactamase産生菌は1999年には2.4%, 2003年には5.2%, 2004年には5.0%に認められた。CFIX耐性株のPFGEの解析では, 4種類のパターンが認められ, このうち同じパターンが10株中7株を占めたが, 分離年度あるいは分離地域に特定の傾向を認めなかったため, CHX耐性株は同じクローンのアウトブレイクではないと考えられた。

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