日本化学療法学会雑誌
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小児感染症患者におけるcefcapene pivoxil小児用細粒の有効性, 安全性および薬物動態の検討
砂川 慶介西村 忠史本廣 孝岩井 直一矢野 義孝輪嶋 恵宏藤井 良知
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2006 年 54 巻 5 号 p. 465-477

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抄録

経口セフェム系抗菌薬であるcefcapene pivoxil (CFPN-PI, フロモックス (R) 小児用細粒100mg) の小児患者における薬物動態と有効性および安全性を検討するために, 市販後臨床試験を多施設共同試験として実施し, 集積した128例において以下の結果を得た。
(1) 薬物動態評価対象症例110例のデータについてポピュレーション解析を行った結果, みかけのクリアランス (CL/F), みかけの分布容積 (Vd/F) はともに体重に比例することが示され, また, 体重が10kg以下の群と10kgを超える群との間で薬物動態に差はみられなかった。
(2) 臨床効果については, 呼吸器感染症に対して88.1% (96例/109例), 尿路感染症に対して100% (6例/6例) と, 高い有効率が得られた。
(3) Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae (PRSP) を含む肺炎球菌に対するMICを他の経口セフェム系薬と比較した結果, CFPN-PIが強い抗菌力を保持していることが確認された。
(4) 副作用 (症状) は128例中18例 (18件) に認められ, 発疹1件を除き, 残り17件はすべて消化器症状であった。副作用 (臨床検査値異常) は116例中11例 (15件) に認められ, AST上昇, ALT上昇が各4件で最も多かった。
以上より, 本薬は乳児 (新生児を除く) を含む小児の患者において, 承認された用法・用量で十分な薬物動態が得られ, また, 高い有効性および安全性を示すことが確認できた。

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