日本化学療法学会雑誌
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Garenoxacin投与とQT時間
臨床試験における心電図解析
村川 裕二
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2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 214-221

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抄録

新規のキノロン系合成抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrateのQT間隔に及ぼす影響について検討した。健康成人を対象とした臨床薬理試験の被験者66名および感染症患者を対象とした臨床第III相試験の400mg/1回/目投与の患者504名の心電図データを解析した。単回投与試験でのTmax付近 (投与2時間後) のQTcおよびΔQTcは, 600mg投与群で365.8±26.9msecおよび1.8±25.4msecであり, QTc延長傾向はなかった。臨床第III相試験におけるΔQTcは, 投与3目後-10.5±27.0msec, 投与9日後-9.0±27.8msecであり延長傾向を示さなかった。カテゴリ別解析では, QTcが450msec (男性) または470msec (女性) を超え, かつΔQTcが60msecを超えた症例が, 臨床第III相試験で504名中3名にあったが, いずれも臨床背景に関連するものであった。
血漿中薬物濃度とΔQTcとの関連の検討では, CmaxとΔQTcとの間に相関性はみられなかった。また, 本薬による有意な心電図波形の変化はみられず, QTc延長に関連した有害事象の発現もみられなかった。さらに, 年齢および体重等の臨床像とQTcおよびΔQTcへの関与は認められなかった。
以上より, 本薬の日本人のQTc間隔に及ぼす影響は小さいと考えられた。

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