日本化学療法学会雑誌
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55 巻 , Supplement1 号
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  • 高畑 正裕, 福田 淑子, 二口 直子, 杉浦 陽子, 久田 晴美, 水永 真吾, 大懸 直子, 伊東 優子, 新村 裕子, 中谷 雅年, ...
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 1-20
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規des-F (6)-quinolone系抗菌薬garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) のin vitro抗菌活性を検討し, 以下の成績を得た。
    (1) GRNXは好気性, 通性嫌気性および偏性嫌気性のグラム陽性菌ならびにグラム陰性菌, さらにはChlamydia spp., Mycoplasma pneumoniaeおよびLegionella spp.に対して幅広い抗菌スペクトルを示した。
    (2) 好気性および通性嫌気性グラム陽性菌の各種新鮮臨床分離株に対するGRNXの抗菌活性は強く, メチシリン感受性Staphylococcus aureus (MSSA), ペニシリン耐性Stteptococcus pneumoniae (PRSP) を含むStreptococcus属に対するMIC90は0.05~0.1μg/mLでlevofloxacin (LVFX), gatifloxacin (GFLX), moxifloxacin (MFLX), ciprofloxacin (CPFX) およびtosufloxacin (TFLX) の1/2~1/32であった。
    (3) 好気性および通性嫌気性グラム陰性菌のうち, 呼吸器および耳鼻咽喉科領域感染症の主要起炎菌であるHaemophilus influenzae, Moraxella catarrhalisおよびKlebsiella pneumoniaeに対するGRNXのMIC90は0.025~1.56μg/mLであり, 比較したフルオロキノロン系抗菌薬の1/2~4倍であった。
    (4) GRNXのChlamydophila pneuminiaeに対するMICは0.002~0.008μg/mL, M. pneumoniaeに対するMIC90は0.0313μg/mLで, いずれも比較したキノロン系抗菌薬中, 最も低かった。Legionella pneumophilaに対するGRNXのMIC90は0.0039μg/mLでGFLXと同値他のフルオロキノロン系抗菌薬の1/4であった。
    (5) GRNXの抗菌活性は培地の種類培地pH, ヒト血清添加および接種菌量の影響をほとんど受けなかった。
    (6) GRNXの抗菌作用は殺菌的であった。また, キノロン耐性菌を含むS.aureusおよびS.pneumoniaeにおけるmutant prevention concentration (MPC) は1μg/mL以下で, LVFXおよびGFLXより低かった。
    (7) GRNXはS.aureusおよびS.pneumoniaeのDNAジャイレースあるいはトポイソメラーゼIVをLVFXおよびGFLXより強く阻害した。
    (8) ヒト400mg単回経口投与時に相当する血中濃度を再現したin vitro pharmacokinetic (PK) モデルにおいて, GRNXはキノロン耐性S.pneumoniaeに対し強い殺菌効果を示した。
  • 福田 淑子, 高畑 正裕, 杉浦 陽子, 中谷 雅年, 新村 裕子, 久田 晴美, 米納 孝, 神山 朋子, 満山 順一, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 21-27
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規des-F (6)-quinolone系抗菌薬garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の各種動物感染モデルにおけるin vivo抗菌活性について検討し, 以下の成績を得た。
    (1)メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA) によるマウス全身感染モデルにおけるGRNXの50%有効用量 (ED50値) は000593mg/mouseで, levofloxacin (LVFX) およびgatifloxacin (GFLX) より低く, ペニシリン耐性Streptococcuspneumoniae (PRSP) に対しては0555mg/mouseで, GFLXと同程度で, LVFXより低かった。EscherichiacoliおよびPseudomonas aeruginosaに対しては, LVFXおよびGFLXと同程度の治療効果を示した。
    (2) PRSPによるマウス肺炎モデルにおけるGRNX投与群の肺内生菌数は<2.68LogofCFU/gであり, LVFXおよびGFLXより低かった。
    (3)Mycoplasma pnmmoniaeによるハムスター肺炎モデルにおいて, GRNXの20および40mg/kg投与群の気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中生菌数はLVFX投与群に比べ低かった。
    (4)Chlamydophila pneumoniaeによるマウス肺炎モデルにおけるGRNXのED50値は00286mg/mouseで, LVFXおよびazithromycin (AZM) に比べ低かった。
    (5)Legionella pneumophilaによるモルモット肺炎モデルにおいて, GRNX投与群の肺内生菌数は2.84Log of CFU/Lungであり, ciprofloxacin (CPFX) およびclarithromycin (CAM) 投与群より少なく, rifampicin (RFP) と同程度であった。
  • 古坊 真一, 松野 隆幸, 小崎 司, 山本 至臣, 三善 隆広, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 28-33
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) のマウス, ラットおよびイヌにおける単回投与毒性試験を, 経口投与および静脈内投与により実施した。
    経口投与試験では, マウス, ラットおよびイヌともに, 最高用量である2,000mg/kgで死亡例はみられず, 致死量はいずれの動物においても2,000mg/kgを上回っていた。一般状態の観察において, ラットでは2,000mg/kgで軟便が, イヌでは1,000mg/kg以上で自発運動低下, 嘔吐, 流誕, 体温低下および脈拍数増加, 2,000mg/kgで一過性の体重および摂餌量の減少がみられた。
    静脈内投与でのおおよその致死量は, マウスでは, 雄で200~250mg/kg, 雌で250mg/kgであり, ラットでは雌雄ともに250~300mg/kg, 雄性イヌでは200~300mg/kgであった。一般状態の観察において, マウスおよびラットでは, 150mg/kg以上で自発運動低下, 横臥, 腹臥, よろめき歩行, 這い回り, 呼吸数減少, 間代性痙攣, 散瞳, 挙尾あるいは流誕が, また, マウスでは150mg/kg以上で, ラットでは200mg/kg以上で, 一過性の体重減少あるいは増加抑制がみられた。イヌでは, 200mg/kg以上で自発運動低下, 流誕, 潮紅嘔吐, 体温低下, 脈拍数増加ならびに体重および摂餌量の減少が, さらに300mg/kgでは, 頭部の浮腫 (皮下) および強直性痙攣が観察された。ラットおよびイヌの死亡例には, 肺, 肝臓胃または小腸にうっ血がみられた。
    以上のように, GRNXのマウス, ラットおよびイヌにおける単回投与毒性試験で観察された毒性変化は, フルオロキノロン系抗菌薬で報告されており, GRNXに特有の変化はみられなかった。
  • 長沢 峰子, 福井 理恵, 木澤 和夫, 鬼頭 暢子, 早川 大善, 三善 隆広, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 34-41
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) をSD系ラットに3カ月間反復経口投与し (雄50, 100, 200および400mg/kg群, 雌100, 200, 400および800mg/kg群), その毒性を調べるとともに, 雄の200および400mg/kg群ならびに雌の400および800mg/kg群については1カ月間の休薬期間を設けて回復性を調べた。
    雄の100mg/kg以上の群では肝細胞の脂肪滴沈着が, 200mg/kg以上の群では体重増加抑制, アルカリ性フォスファターゼの増加および心臓重量の減少が, 400mg/kg群ではトリグリセリドの減少および唾液腺重量の減少がみられた。一方, 雌の400mg/kg以上の群ではアルカリ性フォスファターゼの増加, 唾液腺重量の減少および関節軟骨障害が, 800mg/kg群ではトリグリセリドの減少, 心臓重量の減少および肝細胞の脂肪滴沈着がみられた。休薬期間終了時には雄の400mg/kg群および雌の800mg/kg群で, 関節軟骨部の骨軟骨症がみられた。その他, 軟便および盲腸腔の拡張などGRNXの抗菌作用による腸内細菌叢の変動に起因すると考えられる変化が各群にみられた。これらの結果から, 本試験における無毒性量は雄で50mg/kg, 雌で200mg/kgと判断した。トキシコキネティクスでは血漿中濃度に性差がみられ, 雌のAUC0-∞ は雄の約1/4~1/3であった。
    以上の変化はいずれもフルオロキノロン系抗菌薬のラット反復投与毒性試験においてみられる変化であり, GRNXに特有の変化はなかった。
  • 木澤 和夫, 福本 博之, 三善 隆広, 角崎 英志, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 42-53
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の10, 30, 100mg/kgを雌雄のカニクイザルに1日1回, 3カ月間連日経口投与し, その毒性を調べるとともに, 30および100mg/kg群については3カ月間の休薬期間を設けて回復性を調べた。その結果, 100mg/kgで投与期間中, 嘔吐および流誕が観察された。これらの症状はおおむね投与直後に発現し, 時間の経過とともに消失した。また, 投与期間終了時の病理組織学的検査では胃底腺の萎縮がみられた。本変化には休薬による回復性が認められた。体重推移, 摂餌量, 眼科学的検査, 心電図検査, 聴覚検査, 尿検査, 血液学的検査および血液生化学的検査でGRNX投与に起因する変化は, いずれの用量においても認められなかった。本試験における無毒性量は30mg/kgであり, その際のGRNXの全身曝露は, Cmaxで11.2~16.9μg/mL, AUCで88.6~159μg・h/mLであった。なお, 30mg/kg以上で口腔粘膜をはじめとする各種器官および組織に赤紫色の着色甲状腺に黒褐色の変色がみられたが, いずれの器官および組織にも着色に関連すると考えられる組織学的な変化は認められず, 血中の甲状腺ホルモン (T3, T4, 遊離T3および遊離T4) 濃度にも異常はみられなかった。また, 着色には休薬による回復性が認められた。
  • 守田 禎一, 望月 清一, 能島 康幸, 荒木 春美, 鬼頭 暢子, 中嶋 圓, 三善 隆広, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 54-61
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の遺伝毒性を検討するために, 細菌を用いる復帰突然変異試験ほ乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験, マウスを用いる小核試験およびラット肝細胞を用いるin vivo不定期DNA合成試験を実施し, 以下の結果を得た。
    (1) 細菌を用いる復帰突然変異試験では, 代謝活性化系 (S9 mix) の有無にかかわらず, いずれの試験菌株 (ネズミチフス菌TA98, TA100, TAI535およびTAI537株ならびに大腸菌WP 2 uvrA株) でも復帰変異コロニー数の増加はみられなかった。
    (2) ほ乳類培養細胞 (V79細胞) を用いる遺伝子突然変異試験では, S9 mixの有無にかかわらず, 6-チオグアニン抵抗性突然変異体コロニーの出現頻度は増加しなかった。
    (3) ほ乳類培養細胞 (CHL/IU細胞) を用いる染色体異常試験では, S9 mixの非存在下および存在下で染色体異常を有する細胞の出現率が増加した。
    (4) マウスを用いる小核試験では, 骨髄細胞における小核出現頻度は増加しなかった。
    (5) ラット肝細胞を用いるin vivo不定期DNA合成試験では, ネット核グレイン数および修復細胞数は増加しなかった
    以上のように, GRNXは, ほ乳類培養細胞に対してトポイソメラーゼ阻害に関連すると考えられる染色体異常誘発作用を示したが, in vivoで染色体異常誘発性を調べるマウス小核試験では陰性であった。また, その他のin vitroおよびin vivoの試験でも陰性の結果が得られたことから, GRNXが生体内で遺伝毒性を示す懸念は低いと考えられた。
  • 小崎 司, 古坊 英子, 三善 隆広, 古川 正敏, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 62-74
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の生殖発生毒性試験をSprague-Dawley系ラットおよびNew Zealand White種ウサギを用いて行った。
    ラットを用いた経口投与による受胎能および着床までの初期胚発生に関する試験では, 100および400 mg/kg群の雄に体重増加の抑制ならびに摂餌量の低値が, 1,000mg/kg群の雌に体重増加の抑制がみられた。生殖能検査, 精子検査, 性周期および妊娠15日の子宮内観察結果にGRNXの影響はみられなかった。
    ラットを用いた経口投与による出生前および出生後の発生ならびに母動物の機能に関する試験では, 250および1,000mg/kg群の母動物において, 妊娠期間中に体重増加の抑制および摂餌量の低値がみられた。母動物の妊娠の維持, 分娩および哺育からみた生殖能力にGRNXの影響はみられなかった。出生児については, 生存率, 体重推移, 一般状態, 発育分化, 反射反応性試験オープンフィールド試験学習試験, 生殖能検査および妊娠20日の子宮内観察結果にGRNXの影響はみられなかった。
    ラットを用いた経口投与による胚・胎児発生に関する試験では, 1,000mg/kg群の母動物に体重増加の抑制および摂餌量の低値がみられた。母動物の妊娠の維持および妊娠末期帝王切開所見からみた生殖能力にGRNXの影響はみられなかった。胎児については, 生存胎児数, 死亡胚・胎児数生存胎児体重, 性比, 外表観察, 内臓観察および骨格観察結果のいずれにもGRNXの影響はみられず, GRNXに催奇形性はなかった。
    ウサギを用いた静脈内投与による胚・胎児発生に関する試験では, 流産がGRNXの各投与群に1~3例みられ, 12.5mg/kg群の1例は流産後に死亡した。また, 6.25, 12.5および25mg/kg群の母動物に体重増加の抑制および摂餌量の低値がみられた。胎児については, 25mg/kg群で生存胎児体重の低値および内臓観察において胸腺頸部残留を有する胎児数の増加がみられたが, 胸腺頸部残留は母動物の低体重に起因する胎児の発育遅延を示唆する所見と考えられ, GRNXに催奇形性はなかった。
  • 鬼頭 暢子, 清岡 昌史, 三善 隆広, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 75-77
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の光毒性を調べるため, ciprofloxacin (CPFX) およびlevofloxacin (LVFX) を比較対照薬としてモルモットを用いた光毒性試験を実施した。
    GRNX, CPFXおよびLVFXについて, それぞれ活性本体として100mg/kgを単回静脈内投与し, 投与10分後から約30分間長波長紫外線 (UVA) を約10J/cm2照射して, 照射24および48時間後の皮膚反応を肉眼的に観察した。対照群として, 生理食塩液を同様に投与した群も設けた。
    その結果, GRNX群では, 24および48時間後ともに皮膚に異常はみられなかった。CPFX群では, 24および48時間後に, 全例で中等度の紅斑がみられた。LVFX群では, 24時間後に1/6例で軽度の紅斑がみられたが, 48時間後には消失した。
    また, UVA照射時間帯 (投与後10~40分) におけるGRNXの血漿中濃度は, LVFXとほぼ同等であり, CPFXより高かった。
    以上より, GRNXの光毒性は, CPFXおよびLVFXより弱いと考えられた。
  • 加藤 寛, 早川 大善, 福島 容子, 門田 卓美, 福本 博之, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 78-86
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規なdes-fluoro (6)-quinolone系抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の各種動物における体内動態について検討した。GRNXは経口投与後すみやかに吸収され, 大脳および脊髄等の中枢神経系の組織・器官を除く, 大部分の組織・器官に広く分布した。ラットおよびサルに [14C] GRNXを投与した後の放射能の大部分は体外へ排泄され, 残留性は低いと考えられた。また各種動物における曝露量は, 今回検討した投与量の範囲 (ラット: 2~25mg/kg, イヌ: 8~75mg/kgサル: 25~100mg/kg) で, ほぼ線形であることが示唆された。マウス, ラット, イヌ, サルおよびヒトのin vitro血清蛋白結合率はGRNX濃度に依存せず, ほぼ一定であった (マウス: 66.7~71.9%, ラット: 86.5~89.0%, イヌ: 64.5~67.6%, サル: 71.2~74.5%, およびヒト: 78.3~84.0%)。GRNXの尿中排泄率は, ラットで投与量の増加により低下したが, イヌでは認められず, 尿中排泄の種差が認められた。また, ラットのGRNXの曝露量は, 雌性において雄性と比較して低く (雄性のAUC0-∞の約33%), 性差が認められた。ラットにおける胆汁中排泄および尿中排泄には性差は認められず, GRNX曝露量の性差の原因の一つとして, 代謝が考えられた。
  • 中村 哲朗, 飛世 千栄, 加藤 寛, 片井 真樹, 早川 大善, 藤堂 洋三
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 87-94
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の臨床における薬物動態学的薬物間相互作用の発現の可能性を評価するため, GRNXのヒト肝ミクロソームによる代謝ヒト初代培養肝細胞を用いたチトクロムP450 (CYP) 1A2およびCYP3A4活性に対する誘導作用, およびヒト肝ミクロソームを用いた各CYPの標準基質代謝活性に対する阻害作用を検討した。GRNXは, ヒト肝ミクロソームにおいてNADPHの有無にかかわらずほとんど代謝されず, GRNXの代謝に対してCYPの関与は少なかった。また, GRNXは血漿中非結合型濃度 (約6μmol/L, 400mg反復経口投与時のヒトCmaxより算出) の約17倍 (100μmol/L) までCYP1A2およびCYP3A4に対して酵素誘導作用を示さなかった。さらに, CYP1A2, CYP2A6, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP2E1およびCYP3A4に対する阻害作用は弱く, いずれの分子種に対しても50%阻害濃度は1,000μmol/L以上であった。以上, GRNXを臨床で他薬剤と併用した場合に, CYPを介した薬物間相互作用が発現する可能性は低いと考えられた。
  • 内田 英二
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 95-115
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の日本人健康成人男子に対する薬物動態および安全性について検討した。また, 本薬の薬物動態に及ぼす食事の影響についても検討した。さらに, 日本人と外国人の薬物動態を比較検討し, 内因性の民族的要因についても検討した。
    1.薬物動態: 単回投与試験においてCmaxおよびAUCは投与量にほぼ比例して増加し, 投与量との間に比例関係がみられた。反復投与試験においては投与7日目までに定常状態に達し, 蓄積性はみられなかった。400mg投与時の定常状態でのCmaxおよびAUCはそれぞれ11.06μg/mLおよび110.9μg・h/mLであった。
    2.安全性: 600mgまでの単回投与および400mg 1日1回14日間反復投与までの安全性および忍容性が確認された。また, 有害事象発現頻度と投与量および血漿中濃度との問に関連性はみられなかった。
    3.食事の影響: 食後および空腹時のCmaxとAUCの比 (食後/空腹時投与) は0.876および0.925であり, 90%信頼区間はあらかじめ定めた範囲内 (Cmaxが0.70~1.43, AUCが0.80~1.25) に含まれていたことから, 食事の影響はないと考えられた。
    4.日本人と外国人の薬物動態の比較: 日本人と外国人における血漿中および尿中薬物動態, 代謝物, 唾液中への移行性および蛋白結合率を比較検討した。血漿中薬物動態パラメータは体重補正することで類似していた。代謝物の種類と量, 唾液中への移行性および蛋白結合率は両者で同様であり, GRNXは内因性の民族的要因を受けにくい薬剤であると考えられた。
  • 非盲検・非対照・多施設試験
    小林 宏行, 渡辺 彰, 青木 信樹, 小田切 繁樹, 佐野 靖之, 斎藤 厚
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 116-126
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症患者を対象として, キノロン系抗菌薬garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) 200mgを1日1回投与し安全性および有効性を確認後, 400mgを投与し, 両投与群における安全性および有効性を探索的に検討した。また, 副次的に血漿中濃度を測定した。
    1.臨床効果: 投与終了時または中止時の臨床効果は200mg投与で96.0%(24/25), 400mg投与で875%(21/24) であった。また, 投与終了7日後の臨床効果は200mg投与で100%(19/19), 400mg投与で947%(18/19) であった。
    2.細菌学的効果: 投与終了時または中止時の菌消失率は200mg投与で100%(16/16), 400mg投与で70.0%(7/10) であった。また, 投与終了7日後の菌消失率は200mg投与で100%(11/11), 400mg投与で6/8であった。
    3.安全性: 有害事象のうち, 薬剤との因果関係が否定できない副作用 (随伴症状) 発現率は200mg投与で9.7%(3/31), 400mg投与で6.5%(2/31) であり, 臨床検査値異常発現率は200mg投与で26.7%(8/30), 400mg投与で19.4%(6/31) であった。
    4.薬物濃度: トラフ濃度は200mg投与で0.89±0.42μg/mL, 400mg投与で171±0.46μg/mLであり, 用量に比例していた。
    以上より, GRNX200mg投与および400mg投与の安全性に差はなかったが, AUC/MICの観点からは高用量で高い有効率が期待できることから, 国内試験における臨床推定用量を先行した外国試験と同じ400mg 1日1回とすることが妥当であると考えられた。
  • 小林 宏行, 渡辺 彰, 青木 信樹, 小田切 繁樹, 河合 伸, 二木 芳人, 河野 茂, 斎藤 厚
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 127-143
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の細菌性肺炎に対する有効性および安全性を検討する目的でlevofloxacin (LVFX) を対照薬として二重遮蔽比較試験を実施した。本試験は欧州および南米など (以下, 外国) で実施した外国臨床成績の本邦試験への外挿可能性を判断することも目的とし, 治験実施計画書をできる限り外国試験に合わせて実施し, 投与終了時に加え投与終了7日後の有効性も評価した。
    GRNXは400mgを1日1回 (GRNX群), LVFXは100mgを1日3回 (LVFX群) とし, いずれも10日間投与とした。有効性解析対象199例に対する投与終了時の有効率は, GRNX群99.1%(111/112例), LVFX群94.3%(82/87例) であり, GRNX群のLVFX群に対する非劣性が検証された。投与終了7日後の有効率は, GRNX群94.9%(94/99例), LVFX群928%(77/83例) であった。細菌学的効果評価対象99例における投与終了時の細菌学的効果 (菌消失率) は, GRNX群 (59/59例), LVFX群 (40/40例) ともに100%であった。投与終了7日後における菌消失率は, GRNX群100%(50/50例), LVFX群86.8%(33/38例) とGRNX群はLVFX群に比較し有意に高値であった。安全性解析対象253例の副作用および臨床検査値異常発現率は, GRNX群35.6%(48/135例), LVFX群27.1%(32/118例), さらにこれら有害事象の種類およびその程度を含めともに両群間に有意差はみられなかった。
    外国でのGRNXの試験成績との比較において, その主要評価項目である投与終了7日後の有効率は, 本邦での94.9%(94/99例) に対し, 外国での成績は89.9%(89/99例) であり類似していた。また, 副作用の発現率は156%であり外国成績での19.8%と類似しており, その種類程度においても偏った事象はみられなかった。
    以上よりGRNX400mg1日1回10日間投与は, 細菌性肺炎の治療に対し, 高い臨床的有用性が期待できるとともに外国成績の本邦試験への外挿可能性も考えられた。
  • PK/PD試験
    小林 宏行, 谷川原 祐介, 渡辺 彰, 青木 信樹, 佐野 靖之, 小田切 繁樹, 二木 芳人, 河野 茂, 斎藤 厚
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 144-161
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸器病変の二次感染患者を対象に新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacinmesilate hydrate (GRNX) 400mgを1日1回投与し, 有効性および安全性を評価した。また, 薬物動態検索に資すべく採血を行い, population pharmacokinetics (PK) 解析により, PKおよびpharmacokinetics/pharmacodynamics (PK/PD) パラメータと有効性および安全性との関係を観察し・臨床推奨用量の妥当性および外国での臨床データとの類似性も検討した。
    日本化学療法学会の判定基準による有効率は, 投与終了時87.8%(108/123), 投与終了7日後83.7%(103/123) であり, 6例に再燃がみられた。細菌学的効果 (菌消失率) は投与終了時89.6%(60/67例), 投与終了7日後85.1%(57/67例) であった。呼吸器感染症の主要な起炎菌であるStreptococcus pneumoniae, Staphylococcus aureus, Haemophilus influenzaeおよびMomxella (Bmhamlla) cafarrhalisの菌消失率は, 投与終了時でそれぞれ100%(13/13), 7/8, 100%(28/28) および8/8, 投与終了7日後でそれぞれ100%(13/13), 6/8, 96.4%(27/28) および7/7であった。特に, penicillin-resistant S.pneumoniae (PRSP) 3株およびpenicillin-intermediate resistantS.pmumoniae (PISP) 5株すべてが消失した。
    本試験で副作用は19例26件発現し, その発現率は14.0%(19/136) であった。主な副作用は下痢2.9%(4/136), 軟便2.2%(3/136), 悪心2.2%(3/136) 等の胃腸障害であった。また, 薬剤との因果関係が否定できない臨床検査値異常は26例49件発現し, その発現率は19.3%(26/135) であった。このうちAsT増加10.4%(14/135), ALT増加9.6%(13/135), 血中アミラーゼ増加3.8%(5/130) およびγ-GTP増加3.0%(4/133) などの頻度が高かった。また, AUC0-24およびCmaxと有害事象発現率との間に相関性はみられなかった。
    fAuc0-24/MICが50を超える症例の割合は90%以上を占め, その投与終了7日後の有効率は91.7%(55/60), 一方, fAUC0-24/MICが50以下の症例での有効率は3/6であった。これらの成績は外国の臨床試験結果 (それぞれ98, 7%, 73.3%) とほぼ同様であった。
    以上, これら呼吸器感染症に対するGRNX400mg1日1回投与は臨床推奨用量として妥当であると考えられた。
  • 渡辺 彰, 新妻 一直, 武田 博明, 青木 信樹
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 162-168
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の慢性呼吸器疾患の二次感染患者に対する喀痰中の濃度推移と移行性について検討し, あわせて有効性および安全性についても確認した。
    慢性呼吸器疾患の二次感染患者5例 (びまん性汎細気管支炎1例, 陳旧性肺結核2例, 気管支拡張症2例) を対象にGRNX400mgを1日1回経口投与し, 血漿中および喀痰中薬物濃度を測定した。その結果, 喀痰中および血漿中濃度は投与3~5時間後に最高値を示し, 投与3時間後の喀痰中濃度 (平均±標準偏差) は3.50±1.17μg/gであった。また, 投与24時間後の喀痰中濃度は0.784±0199μg/gであったことから, 喀痰中トラフ濃度においてもGRNX濃度は呼吸器感染症の主要起炎菌に対するMIC90 (キノロン系抗菌薬感受性Staphylococcus aumreus: 0.025μg/mL, Streptococcus pneumoniae: 0.05μg/mL. Hamopkilus influenzae: 0.0l25μg/mL, Moraxella catarrhalis: 0.10μg/mL) を上回っており, 呼吸器感染症に効果が期待できると推察された。本試験の症例においては, 起炎菌 (Streptococcus constellatus, Pseudomoms aeruginosaおよびH. influenzae) が消失した有効3例はいずれも投与24時間後の喀痰中濃度が各起炎菌のMICを上回っていた。一方, 安全性に関しては, 重篤または重要な有害事象は認められなかった。
    以上, GRNXは慢性呼吸器疾患の二次感染患者の喀痰中への移行が良好で, 効果が期待できる喀痰中濃度が得られたことから, 有用な薬剤になるものと期待される。
  • 小林 宏行, 渡辺 彰, 青木 信樹, 小田切 繁樹, 河合 伸, 二木 芳人, 河野 茂, 斎藤 厚
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 169-184
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の非定型肺炎 (マイコプラズマ, クラミジアおよびレジオネラ) および急性気管支炎を含む呼吸感染症に対する有効性および安全性を検討した。投与量はGRNX400mg1日1回投与とし, 投与期間は7~10日間とした。
    1.臨床効果: 投与終了時の有効率はマイコプラズマ肺炎 (細菌性肺炎またはクラミジア肺炎との混合感染を含む) 100%(20/20), クラミジア肺炎 (細菌性肺炎との混合感染を含む) 92.3%(12/13) であり, 市中肺炎全体で98.9%(88/89) であった。また, 細菌性急性気管支炎100%(12/12), クラミジア急性気管支炎1/1であり, 急性気管支炎全体で100%(13/13) であった。
    2.細菌学的効果: 菌消失率はマイコプラズマ肺炎100%(6/6), 細菌性肺炎95.5%(21/22) であり, 細菌性肺炎と非定型肺炎との混合感染例では, 一方の起炎菌の消長しか確認できず「一部消失」と判定した症例が5例あったことから, 市中肺炎全体で81.8%(27/33) であった。また, 急性気管支炎では5/5であった。
    3.安全性: 有害事象は144例中93例 (64.6%) に発現し, 計233件みられた。そのうち臨床検査値異常変動は143例中73例 (51.0%) に発現し, 計141件みられた。このうち, 副作用および薬剤に関連する臨床検査値異常変動は144例中55例 (38.2%), 計103件であった。比較的頻度の高かったものは, ALT増加10.5%(15/143), AST増加5.6%(8/143) であった。
    以上の成績から, GRNX400mg1日1回投与はマイコプラズマ, クラミジア肺炎および細菌性急性気管支炎を含む呼吸器感染症に対して, 高い臨床的有用性が期待できうることが示唆された。
  • 河野 茂, 渡辺 彰, 青木 信樹, 舘田 一博, 谷口 博之, 二木 芳人, 平田 恭信
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 185-193
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacinmesilatehydrate (GRNX) のペニシリン耐性肺炎球菌 [penicillin-intermediate resistant streptococcu5 pmumoniae (PISP) またはpenicillinresistantS.pneumonme (PRSP)] を原因菌とする呼吸器感染症に対する有効性および安全性を検討した。
    1.臨床効果: 肺炎球菌解析対象集団における投与終了時または中止時の有効率は, PRSPで8/9例, PISPで93.8%(15/16例), penicillin-susceptible S.pneumoniae (PSSP) で100%(22/22例) であった。耐性不明については4/4例有効であり, 肺炎球菌全体の有効率は96.1%(49/51例) であった。また, 投与3日後の有効率は, 肺炎球菌全体で84.3%(43/51例) であり, そのうちPRSPで8/9例, PISPで75.0%(12/16例), PSSPで86.4%(19/22例), 耐性不明4/4例であった。
    2.細菌学的効果: 肺炎球菌解析対象集団における投与3日後および投与終了時または中止時の菌消失率はいずれも, 肺炎球菌全体で100%(50/50例) であり, そのうちPRSPで9/9例, PISPで100%(16/16例), PSSPで100%(21/21例) であり, 耐性不明で4/4例であった。
    3.安全性: 副作用発現率は8.1%(8/99例), 臨床検査異常発現率は30.3%(30/99例) であったが本薬に特異的な有害事象はなく, また, 臨床上問題となる心電図所見もなかった。
    以上の成績から, PRSPおよびPISPを含む肺炎球菌を原因菌とする呼吸器感染症に対して, GRNX400mg1日1回投与により, 高い臨床的有用性が期待できるものと考えられた。
  • 馬場 駿吉, 鈴木 賢二, 山中 昇, 夜陣 紘治
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 194-205
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrate (GRNX) 400mg単回投与時の耳鼻咽喉科領域の組織移行性 (薬物動態) および耳鼻咽喉科領域感染症患者を対象とするGRNX400mg1日1回投与における臨床効果を検討し, 以下の成績を得た。
    1.組織移行性: GRNX単回投与2.5~3.5時間後の平均組織中薬物濃度は, 副鼻腔粘膜6.01μg/g, 中耳粘膜5.89μg/g, 口蓋扁桃組織9.44μg/gであり, 対血漿中薬物濃度比 (組織/血漿) は, 1.03~1.61であった。これらの組織中薬物濃度は, penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae (PRSP) 等の耐性菌を含む耳鼻咽喉科領域感染症の起炎菌に対するGRNXのMIC90 (0.2μg/mL) を上回る値であった。
    2.臨床効果 (有効性): 投与終了時または中止時の有効率は, 全体で89.4%(101/113例) であった。疾患別の有効率は, 慢性副鼻腔炎の急性増悪92.0%(23/25例), 急性咽喉頭炎85.0%(17/20例), 急性扁桃炎95.2%(20/21例) および急性中耳炎と慢性中耳炎の急性増悪87.2%(41/47例) であった。
    3.細菌学的効果: 投与終了時または中止時の起炎菌消失率は, 全体で978%(131/134株) であった。起炎菌別の消失率はStaphylococcus aureus94.1%(32/34株), S. pneumoniae 100%(20/20株), Haemophilus influenzae 100%(20/20株), Moraxella (Branhamella) catarrhalis 100%(14/14株) であった。また, 耐性菌の消失率はmethicillin-resistant S. aureus (MRSA) 2/3株PRSP5/5株penicillin-intermediateresistant S.pneumoniae (PISP) 3/3株, β-lactamase negative ampicillin-resistant H.influenzae (BLNAR) 100%(14/14株) であった。
    4.安全性: 副作用発現率は17.4%(21/121例) であり, また, GRNXに特有な副作用はみられなかった。
    以上の成績から, GRNXは耳鼻咽喉科領域感染症 (慢性副鼻腔炎の急性増悪, 急性咽喉頭炎, 急性扁桃炎, 急性中耳炎および慢性中耳炎の急性増悪) の治療において有用性の高い抗菌薬と考えられた。
  • 二木 芳人, 吉田 耕一郎
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 206-213
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口キノロン系合成抗菌薬garenoxacin mesilate hydrate (GRNX) のtheophylline薬物動態に及ぼす影響を, 9名の健康成人男子被験者を対象に検討した。
    Theophylline400mg (分2) を投与4日目まで単独投与し, 投与5日目から11日目までGRNX400mg (朝1回内服) を併用投与し, 投与4日目, 8日目 (併用4日目) および11日目 (併用7日目) の血漿中theophyllineおよびGRNX濃度推移, 薬物動態パラメータ (CmaxおよびAUC) の幾何平均の比とその90%信頼区間を求め, 併用による影響を検討した。
    投与8日目および11日目の血漿中theophylline濃度は投与4日目に比べてともに約20%高く推移した。投与4日目に対する11日目の比の幾何平均はCmaxで1.18, AUC0-10では1.19, その90%信頼区間は, Cmaxで1.02~1.37, AUC0-10では1.03~1.37であった。また, 投与4日目に対する8日目の比の幾何平均はCmaxで1.18, AUC0-10では1.19, その90%信頼区間は, Cmaxで1.02~1.36, AUC0-10では1.02~1.39と11日目の比と同様であった。なお, 投与8日目および11日目のGRNX血漿中濃度はほぼ同様に推移し, 薬物動態パラメータも差がなかった。
    本試験中, 5名の被験者に7件の有害事象が, いずれも併用投与時に発現した。副作用は, 下痢 (2名に2件) と腹痛 (1名に1件) がみられたが, いずれも軽度で無処置にて消失した。
    以上, GRNXはtheophyllineとの併用でその血漿中濃度を約20%上昇させることがわかった。両薬剤を併用する際, GRNXの投与量の調整は不要と考えられるがtheophyllineを点滴等により高用量併用する場合には注意を要すると思われる。
  • 臨床試験における心電図解析
    村川 裕二
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 214-221
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規のキノロン系合成抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrateのQT間隔に及ぼす影響について検討した。健康成人を対象とした臨床薬理試験の被験者66名および感染症患者を対象とした臨床第III相試験の400mg/1回/目投与の患者504名の心電図データを解析した。単回投与試験でのTmax付近 (投与2時間後) のQTcおよびΔQTcは, 600mg投与群で365.8±26.9msecおよび1.8±25.4msecであり, QTc延長傾向はなかった。臨床第III相試験におけるΔQTcは, 投与3目後-10.5±27.0msec, 投与9日後-9.0±27.8msecであり延長傾向を示さなかった。カテゴリ別解析では, QTcが450msec (男性) または470msec (女性) を超え, かつΔQTcが60msecを超えた症例が, 臨床第III相試験で504名中3名にあったが, いずれも臨床背景に関連するものであった。
    血漿中薬物濃度とΔQTcとの関連の検討では, CmaxとΔQTcとの間に相関性はみられなかった。また, 本薬による有意な心電図波形の変化はみられず, QTc延長に関連した有害事象の発現もみられなかった。さらに, 年齢および体重等の臨床像とQTcおよびΔQTcへの関与は認められなかった。
    以上より, 本薬の日本人のQTc間隔に及ぼす影響は小さいと考えられた。
  • 河野 茂, 小林 宏行, 馬場 駿吉, 高畑 正裕
    2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 222-230
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規な経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrate (GRNX) の呼吸器感染症および耳鼻咽喉科領域感染症を対象とした臨床試験 (8試験) から, Streptococcus pneumoniaeを原因菌とする症例を対象として, 原因菌の各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 多剤耐性肺炎球菌の同定, penicillin binding protein (PBP) 遺伝子変異およびマクロライド耐性遺伝子の解析を行い, S. pmumoniaeの耐性別に臨床効果を検討した。GRNXが投与された症例から原因菌として130株のS.pneumoniaeが分離され, このうちpenicillin-resistant S. pmumoniae (PRSP) が20.8%(27/130株) およびpenicillinintermediateresistant S. pneumoniae (PISP) が26.2%(34/130株) と判定された。各種抗菌薬に対する耐性度を検討するために, 106株について再度感受性を測定した。S.pmumoniaeに対する各種抗菌薬のMIC90は, GRNX 0.125μg/mL, levofloxacin 2μg/mL, gatifloxacin 0.5μg/mL, moxifloxacin 0.25μg/mL, cefuroxime 8μg/mL, erythromycin> 128μg/mL, azithromycin> 128μg/mL telithromycin0.25μg/mL, tetracycline 64μg/mLおよびsulfamethoxazole-trimethoprim (ST) 2μg/mLであり, GRNXは測定した薬剤のなかで最も強い抗菌活性を示した。各抗菌薬に対する耐性菌の頻度はキノロン耐性2.8%(3/106株), β-ラクタム耐性44.3%(47/106株), マクロライド耐性79.2%(84/106株), テトラサイクリン耐性802%(85/106株) およびST耐性9.4%(10/106株) であり, 2薬剤以上の多剤耐性菌は78.3%(83/106株) であった。GRNXの投与の有無にかかわらず, 臨床試験から分離されたすべてのPRSPおよびPISP72株におけるPBP遺伝子変異ではpbp1a+pbp2x+pbp2b変異が39株と最も多く, マクロライド耐性遺伝子ではermBが33株と最も多く占めていた。GRNXは, 肺炎球菌感染症全体に対する臨床的有効率は96.2%(102/106例) であったが, 多剤耐性肺炎球菌に対する有効率が96.4%(80/83例), 菌消失率が100%(81/81株) と高い臨床効果であった。
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