本研究は,岩石における物理的風化のうち凍結融解を扱った実験手法を開発し,その実用性を実践により検証した.本実験は水を含まない試料と水を含む試料についての凍結融解行程と強度測定行程の2部構成となっている.岩石試料には支笏溶結凝灰岩(札幌軟石)を用いた.子ども向けの科学イベントで本実験手法を用いたところ,本実験が凍結融解の理解の助けとなることが示された.しかしながら,水を含む試料が凍結融解による強度の明瞭な低下を示さなかった場合,参加者は凍結融解による岩石の脆弱化を引き起こす原因をきちんと理解できないようであった.強度の明瞭な低下を示さないことの原因は軟石における組織の不均質分布によるものと推察される.今後の岩石試料の適切な改善により,本実験手法の広範な利用につながるものと考えられる.