星団に属さない星を用いたHR図は,見かけ等級と絶対等級の本質的な違いの理解を促すとともに,主系列星と赤色巨星の区別が明確にできる点で重要であるが,教材の開発例は少ない.そこで,ベガ周囲の12°×15°の範囲に分布し,距離が既知の恒星120個に対してB, Vバンドでの観測を行い,そのデータをもとにHR図描画教材を開発した.高校生に対する実践では,見かけ等級と絶対等級の違いについてはすべての参加者が,主系列星と巨星の違いについては1名を除く全員が理解できたと回答しており,恒星の性質を理解するうえで本教材は効果があることがわかった.
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