兵庫県立尼崎小田高等学校は兵庫県の南東端に位置し,南西約5km先には大阪湾がある.学校建設前には地盤調査が実施され,調査資料が標本ビン内に保存されていた.堆積環境を検討するために,各資料内の含有硫黄量を定量的に計測した.硫黄分析には比濁法を用いた.海成泥質堆積物中には,硫黄は3mg/g(0.3%)以上含まれているとされている.分析の結果,泥質堆積物が海成か淡水成かを判別するのにこの基準値が有用であることが分かった.また,分析結果を地質柱状図と見比べることにより,高校立地場所の堆積環境の変化をより詳細に明らかにすることができた.硫黄分析を行うことにより,各学校に保管されているボーリング資料は,教材として有効に活用されうるであろう.