2022 年 74 巻 1 号 p. 31-43
学習指導要領と教科書及び理科教育系雑誌における防災教育に関する記述内容から,それぞれの目的・目標の変遷を分析した.その結果,社会的要請や自然災害の有無により異なった価値観の基で防災教育が行われてきたこと,自然現象に関する内容を基盤としたアプローチが伝統的に行われてきており,科学的概念の獲得が中心であったこと,を明らかにした.これらのことから,防災教育の目的・目標は,教育(学)的価値からも再検討される必要があり,防災教育を文脈を伴ったものとして位置づける必要があることを主張した.