日本畜産学会報
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一般論文
バターミルク由来抗ウシロタウイルスポリペプチド
松本 光晴大石 一二三細野 明義
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2002 年 73 巻 1 号 p. 49-56

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抄録

バター製造時の副産物であるバターミルクをブロメライン消化することにより得られたバターミルク加水分解物 (HBM) に耐熱性の抗ウシロタウイルス活性を認めた. 活性部位をDEAEおよびゲル濾過 (Superdex 75) にて部分精製を行い, 抗ロタウイルス活性を有する4つの画分HBM-0.2-A, HBM-0.2-B, HBM-0.4-AおよびHBM-0.4-Bを得た. 各画分のED50 (mg/ml ) はHBM-0.2-A, HBM-0.2-B, HBM-0.4-AおよびHBM-0.4-Bの順にそれぞれ0.16, 1.75, 0.14, 3.25であった. 各フラクションをSDS-PAGEにより分析した結果, HBM-0.2-A, HBM-0.2-B, HBM-0.4-AおよびHBM-0.4-Bの順に分子量14~30, 14~21, 14~35および14~21kDaに強いバンドが検出された. ウエスタンブロット後に小麦胚芽レクチン (WGA) で検出したところ, 活性の高かったHBM-0.2-AとHBM-0.4-Aは同様のパターンを示し, 分子量20~25, 30~35および70~100kDaの3つの糖ポリペプチドから成るフラクションであることが認められた. シアル酸含量が高かったHBM-0.2-BおよびHBM-0.4-Bは抗ロタウイルス活性が弱く, WGAでも検出されなかったことから, 抗ロタウイルス活性はシアル酸の結合部位を中心とした糖鎖構造に依存していることが推測された.

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© 2002 公益社団法人 日本畜産学会
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