日本畜産学会報
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一般論文
暖地型イネ科牧草の成分組成および消化性に及ぼす蒸気加熱処理の影響
時田 昇臣秋山 浩子河村 早苗今田 匡彦下條 雅敬増田 泰久
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2004 年 75 巻 2 号 p. 193-197

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抄録

生育段階の異なる3草種の暖地型イネ科牧草を用い,1.2kg/cm2(120℃),20分間の蒸気加熱処理を行い,茎部および葉部の成分組成および消化率に及ぼす影響について検討した.その結果,出穂後期のグリーンパニック(GP)およびカラードギニアグラス(CG)において処理によりいずれも葉部の粗タンパク質含量が2~3.3%減少した.中性デタージェント繊維含量は,処理によりGPでは生育段階に関わらず葉部において,CGでは出穂後期の茎部を除き,3.5~6.5%増加(P<0.05)した.酸性デタージェント繊維含量は,処理によりローズグラス(RG)では生育段階および部位に関わらず2.6~3.9%低下した.酸性デタージェントリグニン,シリカおよび総エネルギー含量についてはいずれの草種においても顕著な変動効果は認められなかった.In vitro乾物消化率は,出穂前期のCG茎部およびRG葉部においてのみ4~8%増加(P<0.05)した.以上のことから,低圧域での蒸気加熱処理は暖地型イネ科牧草の粗タンパク質含量を低下させることおよび消化率を改善できる場合もあるが,その効果は草種,生育段階および部位により異なることが示された.また,リグニン含量を減少させたり,総エネルギー含量を変化させるような効果はみられなかった.

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© 2004 公益社団法人 日本畜産学会
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