日本畜産学会報
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一般論文
養豚飼料の粉砕およびフィターゼ添加がその消化率に及ぼす影響
高田 良三市川 隆久山崎 正史大塚 誠甘利 雅拡
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2004 年 75 巻 2 号 p. 199-204

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抄録

現在わが国で市販されている肥育豚用飼料12種類の粒度分布を調べた.また,そのうちの一飼料を粉砕し,市販飼料の粒度変化が飼料の消化率に及ぼす影響について検討した.あわせてフィターゼの同時添加の影響についても検討を行った.粒度分布の結果は,1社を除いた他の市販飼料には径が2.36mm以上の大きな粒度を示すものが3∼16%程度含まれていた.消化試験では,市販飼料の粉砕の有無およびそれぞれについてフィターゼ添加の有無を要因とする4試験区を設定した.供試豚は体重約60kgのLWD種雌8頭で各試験区にブタを2頭ずつ配置し,繰り返し実験を行った.消化率は酸化クロム指示物質法によって測定した.その結果,粉砕によって乾物,粗タンパク質および粗脂肪の消化率はいずれも有意(P<0.01)に改善された.また,フィターゼ添加によって乾物(P<0.05),リン(P<0.01)および粗灰分(P<0.01)の消化率は有意に改善された.しかし,亜鉛,銅の吸収率は粉砕,フィターゼいずれの影響も受けなかった.糞排泄量(糞量/飼料摂取量)は対照飼料に対して粉砕,フィターゼの同時処理を行った飼料がもっとも少なかった.以上の結果より,現在市販されている飼料を粉砕することによって消化率は改善され,フィターゼをあわせて添加すると糞排泄量はさらに低減されることが明らかとなった.

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© 2004 公益社団法人 日本畜産学会
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