2004 年 75 巻 4 号 p. 559-566
ウシにおける緑茶飲料製造残渣サイレージの栄養価を求めると共に窒素およびエネルギー出納に及ぼすポリエチレングルコール(PEG)の影響を調べた.チモシー乾草,圧ぺんトウモロコシと大豆粕を組成とした基礎飼料のみを給与(対照区),乾物(DM)比で基礎飼料の20%を緑茶飲料製造残渣サイレージに置換(茶殻区)およびPEGを茶殻区の飼料中タンパク質量の1/5となるように添加(PEG区)する3試験区を設けた.各区にホルスタイン種去勢ウシ2頭ずつを割り当て,3×3のラテン方格法による消化試験を実施した.間接方法により求められた緑茶飲料製造残渣サイレージのDM中可消化養分総量(TDN),可消化エネルギー(DE)および代謝エネルギー(ME)は,それぞれ69.8%,13.0MJ/kgと10.5MJ/kgであった.PEG区では,茶殻区に比べ粗脂肪(EE)の消化率が有意に減少した(P<0.01)ものの,粗タンパク質(CP)の消化率が有意に上昇した(P<0.05).PEGに添加により,糞への窒素排出量は有意に減少した(P<0.05)が,尿中への窒素排出量が増加したため,体内窒素蓄積量は増加しなかった.以上の結果から,緑茶飲料製造残渣サイレージのウシでの栄養価が明らかとなり,PEGの添加により緑茶飲料製造残渣サイレージに由来するタンニンとタンパク質の結合が解離する可能性が示唆された.