日本畜産学会報
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一般論文
Lactobacillus delbruekii subsp. bulgaricus IFO13953による発酵乳中の加水分解生成ペプチドとそれらの同定
井越 敬司濱砂 宏彰小林 弘昌工藤 康文松田 茂樹
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2005 年 76 巻 3 号 p. 315-320

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抄録

Lactobacillus delbruekii subsp. bulgaricus IFO13953のミルク中でのカゼイン分解機構と生成するペプチドの機能性を明らかにする目的で,本菌の発酵乳からペプチドを分離精製してその構造を明らかにした.70%エタノール可溶性画分を調製し,逆相モードでの高速液体クロマトグラフィーでペプチドを分離しその構造を分析した.その結果,培養時間が経るにつれ多数のピークが見出され,これらペプチドの一次構造をアミノ酸組成分析とN-末端配列より検討し,24種類のペプチド構造が明らかにされた.24種類のうち15,5および4種類はそれぞれβ-,κ-およびαS2-カゼイン由来であった.αS1-カゼインからのペプチドは見出されなかった.したがって,これらペプチドの生成に関わるプロテアーゼは,αS1-カゼインには作用しにくい酵素と考えられた.β-カゼイン由来ぺプチドは,β-カゼインの47-94残基および166-209残基,κ-カゼイン由来ペプチドは,パラκ-カゼイン領域,αS2-カゼイン由来ペプチドは,C-末端側から得られた.決定されたペプチド中には,すでに報告されている抗酸化ペプチドが見出されたが,その他のカゼイン由来機能性ペプチドと一致するものはなかった.しかし,幾つかのペプチドには,機能性ペプチド配列を内在していることから,消化管内で二次的に機能性ペプチドの生成する可能性が考えられた.

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© 2005 公益社団法人 日本畜産学会
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