抄録
自由採食下での泌乳初期初産牛の反芻胃容積,消化管部位の内容量,発酵様相,内容物滞留時間を調べた.ホルスタイン種初産牛6頭に分娩後37日から牧草サイレージ,トウモロコシサイレージ,大豆粕,配合飼料からなる混合飼料を自由採食させ,分娩後47日に屠殺し,消化管を10部位に分割し,各組織と内容物を採取した.注水法で測定した反芻胃容積は131.9 Lで,反芻胃容積に対する内容物量は,総量,乾物量,液量でそれぞれ511.1,84.1,427.0 g/Lであった.総VFA濃度は,反芻胃で148.9 mmol/L, 後腸前部位(盲腸から円盤結腸)で84.6-87.3 mmol/L, 後腸後部位(遠位結腸以降)は73.1-74.2 mmol/Lであった.滞留時間は,反芻胃が26.0時間で全消化管(34.1時間)の76.1%を占めたのに対し,第三胃および後腸部位(盲腸以降)では2.7(7.9%)および3.3時間(9.8%)であった.以上の結果から,泌乳初期の初産牛の反芻胃内容量は,泌乳前期以降あるいは泌乳初期の経産牛のそれと比べ少ないこと,また後腸内の内容物滞留時間は短く,泌乳初期牛においては後腸内発酵の寄与が小さいことが示唆された.