抄録
2011年3月,東京電力福島第一原子力発電所放射能漏れ事故が発生した.畜産草地研究所那須研究拠点では冬季放牧試験を実施しており,放牧試験終了後からの試験牛の乳(放牧試験乳)と舎飼い飼養牛の乳(舎飼乳)の放射性核種濃度を各々経時的に追跡した.放牧試験牛6頭は原発事故以前から4月3日まで6時間の時間制限放牧および併給飼料給与にて飼育されていた.放牧最終日における放牧試験乳の放射性核種濃度を測定したところ,ヨウ素131は1,178.9 ± 2.6Bq/L, 放射性セシウム(セシウム134+セシウム137)は1,154.9 ± 1.56Bq/L検出された.一方4月中旬の舎飼乳の測定では,放射性ヨウ素および放射性セシウムは各々3.22 ± 0.04Bq/kgおよび2.46 ± 0.03Bq/kgの汚染に止まっていた.放牧試験牛を4月4日から畜舎内に移動させ舎飼牛と同じTMRを給与すると,放射性ヨウ素は3日後に,放射性セシウムは7日後に暫定許容値(各々300および200Bq/L)を下回った.