抄録
傾斜放牧地で採食時の移動傾斜角度が泌乳牛の心拍数に及ぼす影響を検討した.試験1でホルスタイン種泌乳牛にGlobal Positioning System (GPS)受信機と心拍計を装着し採食時の移動傾斜角度と心拍数(HR)を測定した.HRは立位休息時を基準とした相対心拍数(RHR)で示した.試験2ではGPS受信機で昼夜放牧下での採食時の移動傾斜角度を測定し,試験1のRHRを基に採食時エネルギー消費量(EE)を推定した.放牧草採食時のHRは92.9回/分であり,RHRは立位休息時よりも高かった(試験1).採食時のRHRは上りの移動傾斜角度8度以上(1.15)が0~2度(1.09)よりも有意に高かった(P < 0.01).1日のうち採食時の移動傾斜角度が上り8度以上の割合は12.9~16.4%を占め,採食時EEは平坦地とほぼ同じであったが,本試験の推定方法ではEEを過大評価した(試験2).