日本畜産学会報
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一般論文(原著)
酪農経営における性判別受精卵の受容性に関する研究
小渕 智子長田 雅宏牛島 仁小澤 壯行
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2013 年 84 巻 1 号 p. 43-50

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抄録

酪農経営の収益性を規定する要因の1つに繁殖技術があげられるが,その経済的価値は酪農家に要され営農の場で利用された時に初めて生じる.本研究は性判別受精卵の利用を希望する酪農家層の経営特性および技術普及に必要な諸条件を明らかにすることを目的に,アンケートと聞き取り調査を実施した.これらの結果から性判別受精卵を「利用したい」,「既に利用している」と回答した酪農家は①多頭飼養,②後継者を確保,③性判別精液または受精卵移植の利用率が高い特性を有していた.したがって「性判別受精卵の利用に積極的な酪農家層」は「今後も酪農を永続させるため優良な後継牛の確保や牛群改良を志向し,先進技術の導入や利用に積極的な酪農家層」と推察される.また①繁殖技術の向上,②受精卵の価値に適した価格の設定,③酪農経営への収益性を明確化,④各種研究機関や育成牧場などによる利用推進の働きかけが利用普及に必要な諸要件として示唆された.

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© 2013 公益社団法人 日本畜産学会
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