2014 年 85 巻 1 号 p. 27-32
黒毛和種の死産に影響を与える要因の調査を目的として,産子の近交係数やその他の環境要因が死産に影響を与えているか調査した.2009年1月から2012年2月までの北海道池田町における分娩記録2,878頭を用いて,ロジスティック回帰分析を行った.調査の結果,死産の平均発生率は2.12%と低い値であることがわかった.また双子分娩,産次,妊娠期間,近交係数が死産に影響を与えていた.特に,双子分娩では,単子分娩と比較した際のオッズ比が10.66と高い値を示し,死産に強く影響していると推察された.産次数では,3-4産目のクラスで死産のリスクが低かった(初産と比較した際のオッズ比0.28).妊娠期間については,平均妊娠期間(289日)よりも11日以上妊娠期間が短いまたは長い時に死産のリスクが高くなった.また,産子の近交係数は15%以上になると死産のリスクが高くなることから,近交係数が15%以下となるような交配が望ましいと思われた.