2014 年 85 巻 1 号 p. 33-39
広島県の黒毛和種牛(和牛)の枝肉形質とミトコンドリア(mt)D-loop領域の関連を調査した.広島県の和牛群のD-loop領域は,44の変異を認め41のハプロタイプが判明した.ハプロタイプは非加重結合法により6つのmtタイプ(I~Ⅵ)に分類された.枝肉重量(CW),ロース芯面積(LMA),バラの厚さ(RT),皮下脂肪(SFT),歩留まり(YE),脂肪交雑(BMS)の育種価を6タイプ間でBLUP法により比較した.CW,RT,SFT,YEにおいてmtタイプ間に有意差を認めた.CWではIとⅤ間に,RTではⅢとⅤ間に,SFTではIとⅤおよびⅡとⅤ間に有意差を認めた(P < 0.05).また,YEではIとⅢ,IとⅤ,ⅡとⅢ,ⅡとⅤ間に有意差を認めた(P < 0.05).以上から,和牛において細胞質が枝肉形質に影響を及ぼすことが明らかになった.