日本畜産学会報
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一般論文(原著)
酪農雑排水処理施設への微生物保持担体としての球状パーライトの投入効果
田中 康男舘野 浩一永松 保久山本 正己柴崎 能誌山下 恭広
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2014 年 85 巻 1 号 p. 41-49

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抄録

直径1.5~3 mmの球状パーライトを微生物保持担体として活性汚泥曝気槽に投入した場合の効果について,2ヵ所の酪農雑排水浄化用表面曝気回分式活性汚泥法施設(施設1:容積50 m3,施設2:容積30 m3)で検討した.パーライトは2012年11月(一部は12月)に,見かけ容積として曝気槽容積の10%添加し,投入前の約1ヵ月半に5~6回,投入後の約1ヵ月間に6~7回採水し水質等の分析を行った.曝気槽混合液中の粒状および粉末状のパーライトの合計濃度は投入後一旦高まったが,その後は徐々に低下した.曝気槽はインペラーによる表面曝気方式であったため,パーライトがインペラーにより破砕され,処理水とともに流出したと推測された.投入後は両施設とも水温が18℃から12℃まで徐々に低下したが,施設1では,全窒素および全無機態窒素の除去率が80%から95%程度にまで徐々に上昇した.施設2では,全窒素および全無機態窒素除去率が68~77%に維持された.また,投入後には,施設1ではNO2--N, NO3--Nの両方が,また施設2ではNO2--Nが顕著に上昇し,硝化活性の上昇が示唆された.粒状および粉末状パーライトの合計重量がMLSSに占める割合と単位汚泥量あたりのThauera属DNAコピー数との間には有意な相関がみられた.よって,Thauera属の菌体量増加にパーライトが影響を及ぼした可能性が示唆された.以上の結果より,パーライト投入が窒素除去に効果を及ぼしたことが示唆された.

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© 2014 公益社団法人 日本畜産学会
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