2014 年 85 巻 4 号 p. 471-478
黒毛和種の枝肉形質との関連が報告されているCW-2,CW-1,GHのSNPsについて,岩手県内の黒毛和種と日本短角種における多型頻度と枝肉形質への効果を混合モデルにより調査した.黒毛和種では,CW-2が枝肉重量,ロース芯面積,バラの厚さに,CW-1は枝肉重量,ロース芯面積への効果が認められた.しかし,GHの2ヵ所のSNPsと枝肉形質との関連は認められなかった.CW-2とCW-1の2ヵ所のSNPsで枝肉重量の遺伝分散に対して説明できる割合は30%を占め,特にCW-2は非常に寄与率の高いマーカーである.一方,日本短角種ではCW-2が皮下脂肪厚に効果が認められたが,遺伝子頻度が極端に偏っておりほぼ固定されていた.黒毛和種ではCW-2とCW-1のSNPsが枝肉形質の改良マーカーとして利用価値があるが,日本短角種では独自のQTL探索が課題である.