小児歯科学雑誌
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原著
本学小児歯科外来における初診患者の実態調査
山口 知子小山田 優日野 綾子新垣 真紀子齋藤 幹山田 亜矢福本 敏丸谷 由里子
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2019 年 57 巻 4 号 p. 465-472

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抄録

大学病院小児歯科の役割について確認するため,2015 年度から2018 年度の本学小児歯科外来における初診患者の実態調査を行い,以下の結論を得た。

1 .初診患者数は1,757 人であり,前回調査と比較し増加した。そのうち乳幼児は1,149 人(65.4%)と過半数を占めた。初診患者の居住地域は仙台市内1,154 人(65.7%)が最多であった。

2 .紹介患者の総数は1,562 人(88.9%)で,紹介元は歯科開業医1,133 人(72.5%)が最多となり,その主訴は齲蝕治療588 人(51.9%)が過半数を占めた。

3 .初診患者の主訴は齲蝕治療783 人(44.6%)が最多で,次いで歯列咬合249 人(14.2%),歯数異常178 人(10.1%)と続いた。

4 .初診患者の一人平均齲蝕歯数(乳歯)は5.02 であった。年齢別の一人平均齲蝕歯数は乳歯および永久歯において全年齢で平成28 年歯科疾患実態調査より高値であった。

本調査から,小児歯科の高度な専門性が認知され,特に低年齢児の齲蝕治療に対して需要が高いにも関わらず,一般開業医だけでは十分な対応が難しい現状が推察された。本学小児歯科が果たすべき役割は,高次医療機関として歯科開業医や医科と高度な連携を図ることだけでなく,教育機関として小児歯科専門医の育成や一般開業医の再教育など,多岐にわたると考えられた。

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© 2019 日本小児歯科学会
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