日本畜産学会報
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一般論文(原著)
浸漬液の違いが日本短角種牛肉のコラーゲン性状および酸化に及ぼす影響
手塚 咲柴 伸弥片山 寛則渡邉 学村元 隆行
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2016 年 87 巻 2 号 p. 157-163

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抄録

日本短角種去勢牛の半膜様筋をpHの異なる緩衝液,イワテヤマナシ果汁,およびパイナップル果汁に浸漬させ,4°C下で浸漬の0,24,および48時間後に,保水性,色調値,メトミオグロビン割合,およびコラーゲン含量について検討を行った.トータルロスはpH 6.86緩衝液およびイワテヤマナシ果汁で浸漬させた筋肉と浸漬処理していない対照筋肉との間に有意な差は認められなかった.メトミオグロビン割合はpH 6.86緩衝液以外の浸漬液で浸漬させた筋肉が対照筋肉に比較して有意に高くなった.溶出コラーゲン含量はpH 4.01緩衝液およびイワテヤマナシ果汁で浸漬させた筋肉が浸漬48時間で対照筋肉に比較して有意に高くなった.本研究の結果から,pHの低い緩衝液は筋肉のコラーゲンの溶解性を高めるが保水性を低下させること,イワテヤマナシ果汁はpHが低いにもかかわらず筋肉の保水性を維持すること,およびpHの高い緩衝液は筋肉の保水性を維持し,筋肉の酸化を抑制することが示された.

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© 2016 公益社団法人 日本畜産学会
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