2016 年 87 巻 3 号 p. 263-271
家畜防疫およびアニマルウェルフェアの視点から,牛個体識別情報を用いて酪農家で出生した肉用牛の飼養地移動情報を構築することが有効かどうかを検討した.石川県南部家畜保健衛生所管内酪農家4戸の乳用雌牛から出生した肉用牛について個体識別情報に基づき飼養地移動状況を調査した.ホルスタイン種雄は70%が石川県外に移動していた.交雑種雄は98%が,交雑種雌は83%が石川県外に移動していた.ホルスタイン種雄および交雑種は生後3ヵ月以内に近隣県ばかりでなく,遠隔地に移動していた.さらに,複数の飼養地を移動している肉用牛がいた.一方,受精卵移植由来黒毛和種のほとんどが県内で肥育されていた.個体識別情報から品種別性別都道府県間交流表を定期的に集計することで定量的な肉用牛の移動状況の把握が可能と考えられた.