日本畜産学会報
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一般論文(原著)
ウシの分娩前後における血漿中ミトコンドリア由来細胞外DNA量の変化と血液成分値との関係
野口 龍生相澤 拓朗岩田 尚孝
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2020 年 91 巻 3 号 p. 227-232

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抄録

血液中には細胞外DNAが含まれる.ミトコンドリアに由来する細胞外DNAはその量が多く測定が容易である.本研究では血液中のミトコンドリア由来細胞外DNAがウシの生理状態によって変動するのかどうかを調べるため,ホルスタイン種の栄養状態が大きく変化する時期である分娩前後の血漿の成分値(遊離脂肪酸(NEFA),トリグリセリド(TG),乳酸脱水素酵素(LDH),およびグルコース)と細胞外DNA量との関係性について検討した.また,黒毛和種およびホルスタイン種を用いて人工授精後の妊娠の可否と授精時の細胞外DNA量との関係を検討した.血漿中のNEFA,TG ,LDH,グルコースおよび細胞外DNA量は,分娩前後で大きく変動した.細胞外DNA量とそれぞれの血漿成分の平均値間で相関を調べると,LDHと正の相関が,TGと負の相関があった.一方で合計14頭の人工授精時細胞外DNA量の結果では,受胎牛と不受胎牛間に有意な関係が認められなかった.

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© 2020 公益社団法人 日本畜産学会
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