日本畜産学会報
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一般論文(原著)
揮発性成分を考慮した発酵TMRの栄養価
河内 大介西村 慶子高橋 俊浩川島 知之
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2021 年 92 巻 3 号 p. 301-307

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抄録

発酵TMR(混合飼料)の調製過程で,発酵により揮発性成分が生成する.発酵TMRを用いた消化試験において,化学成分の分析のために試料を加熱乾燥すると,揮発性成分が消失するため栄養価に反映されない.そこで揮発性成分を考慮した精確な栄養価を評価するため,発酵TMRを給与する消化試験を2回行い,揮発性成分の加味の有無が栄養価に及ぼす影響を検討した.消化試験のうち1回目は約5%のビール粕を含むか,含まないか(5%BTMR, CTMR1),2回目は約8%のビール粕を含むか含まないか(8%BTMR, CTMR2),それぞれ2種類の発酵TMRを用いた.本研究に用いた発酵TMR中のエタノール,乳酸,酢酸,酪酸およびVBNの加熱乾燥による揮発率の平均は,それぞれ99.4,12.4,74.4,83.5,78.4%だった.乾物消化率については揮発性成分を考慮すると考慮しない場合と比較して平均1.5ポイント高かった.

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