2025 年 96 巻 1 号 p. 7-18
黒毛和種は脂肪交雑の改良により,輸入牛肉との差別化に成功した.しかしその結果,枝肉成績は高位平準化で差別化が困難となり,新たな指標が求められている.脂肪酸組成の成分値は食味に係る指標として活用が進んでいるが,その他の成分と食味の関係は現時点で不明確である.分析型官能評価は食味性の客観的指標となりうるが,多検体処理には向かない.本研究では,多検体処理可能な成分分析値から食味特性を予測する手法を開発した.成分分析値から遺伝的アルゴリズムとPLS回帰分析で官能評価を予測する式を作成し,決定係数0.6~0.8の推定式を構築した.また12項目の官能評価を主成分分析した結果,第1~3主成分が全情報の93%以上を含むことを示し,それぞれを「食感と全体評価」,「味」,「におい」として解釈する指標とした.本研究の成果により,ブランド牛の食味の特徴づけや食味に基づいた改良に貢献できると期待される.