本研究目的は黒毛和種(以下,黒毛)と豪州産Wagyuの肉質の違いを明らかにすることであった.黒毛とWagyu各18頭から胸最長筋と筋間脂肪を採取し,物理化学分析と分析型官能評価を実施した.筋肉内脂肪含量は黒毛で49.8%,Wagyuで23.2%と大きな差があった.黒毛はWagyuより肉の加熱損失,せん断力価,多くの遊離アミノ酸と核酸関連物質含量が低く,筋肉内脂肪中のオレイン酸と一価不飽和脂肪酸各含量がやや高く,筋間脂肪の融点が4°C低かった.Wagyuより黒毛の方が肉のイノシン酸指数は低かったが,グルタミン酸指数が高く,オレイン酸と一価不飽和脂肪酸の各指数が2倍以上高かった.黒毛の牛肉の方がやわらかく多汁性があり,脂っぽい香り,甘い香り,和牛肉らしい香りが強く,総合評価も高かった.以上から黒毛はWagyuに比べ筋肉内脂肪含量が大変高く,脂肪質も少し異なり,官能特性にも差があることがわかった.