日本畜産学会報
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脱脂濃縮乳の保存品質に対する蛋白質の影響
IIカゼイン・ソーダの影響
津郷 友吉
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1953 年 24 巻 1 号 p. 4-7

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抄録
脱脂乳に蔗糖を加えて濃縮したものが全脂乳のものよりも凝固し易いのは乳固形分 (水分) の関係から蔗糖濃縮度が比較的低いために安定性を欠くによるものと考えられる。よつて先づ脱脂乳に対し1%のカゼイソソーダを加えて濃縮しその保存試験を行つた結果, 濃縮乳は極めて安定となり凝固し難くなることを認めた。故にその添加量を種々に変えて実験を行つた結果, 0.5%添加により既に相当の効果を示すが更に充分の効果を期待するには1%の添加を必要とすることを確めた。このカゼインソーダの影響については更に工場的規模において濃縮試験を行い, 凝固防止効果のあることを確認した。
本試験の成績によればカゼインソーダ添加の効果は単に脱脂乳の固形分を増して蔗糖濃縮度を改良する以外にその添加量が或る程度以上になれば濃縮乳を極めて凝固し難い安定な形にする作用があるものと考えられる。
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