日本畜産学会報
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メタ燐酸塩のゼラチンによる固定度と植物鞣製に対するプレタンニングに就て
先本 勇吉
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1954 年 24 巻 4 号 p. 180-183

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抄録

NaH2PO4・H2Oを650~720℃で先全に熔融し之を急冷して (NaPO3)xを調製供試料となし, 複合鞣製の一法としてメタ燐酸塩プレタニングの最適条件を2%ゼラチン液を用いて決定し, それらの条件下で皮粉をプレタンして植物鞣剤レタンニングした際の, 皮粉のP2O5固定度の変化並に植物鞣剤レタンニングに於るタンニン吸着乃至はレタン皮粉の鞣皮度について試驗し次掲の結果を得た。
1 ゼラチンによるP2O5固定に対するpH効果は2.3~3.6で最大であつた。
2 ゼラチンによるP2O5固定に対する(NaPO3)xの反応濃度効果はP2O5の0.01~0.1モル即(NaPO3)xの0.2~2%の間の濃度で殆ど一定であつた。
3 P2O5固定に対するゼラチンの濃度効果は濃度の高いほど固定度は大であった。
4 ゼラチンによるP2O5固定に対する反応温度効果は10~41℃で低温ほど固定度は大きい。
5 (NaPO3)xのプレタン皮粉を植物鞣剤レタンニングを行うとP2O5固定度は低下する。
6 (NaPO3)xプレタンニングの後植物鞣剤レタンニングを行えばリグニン以外の鞣剤ではレタン皮粉の鞣皮度はプレタンニングによつて減少し,固定P2O5は一部タンニンと置換きれる現象が認められた。

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