日本畜産学会報
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孵卵日数よりみた鶏卵内各種体液の蛋白分屑の消長
I 鶏胎児血清の蛋白分屑
石垣 房治野見山 一生
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1958 年 28 巻 6 号 p. 335-341

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抄録

発生過程における体液蛋白分屑の消長を追求するために, 胎児の内的環境と外的環境とを区分し得る鶏卵について, その孵卵日数に従い, 鶏胎児血清蛋白分屑の消長を濾紙電気泳動法により分析, 考究した。
鶏胎児血清の総蛋白濃度は, 孵卵の経過に従い漸増し人胎児発生における傾向に近似したが, 鶏における濃度の水準は常に人の場合に比して低かつた。
鶏胎児血清蛋白分屑泳動像は, 孵卵中は3峰, 孵化時には5峰に分離できた。
血清蛋白分屑百分比において, SIは中期に減少, 後期に増加し, SIIは中期に増加, 以後減少し, SIIIは初期に増加, その後減少しほぼ同一水準を維持した。
SIの濃度は, 孵卵初期に減少, 孵卵中期に急増し, 後期においては人胎児血Albuminに対し低い水準をとりながらほぼ平行した。
SIIの濃度は, 孵卵全経過を通じ漸増し, 人胎児血α1-およびα2-globulinの急増は, SIIには見られなかつた。
SIIIの濃度は, 孵卵初期の変動後確実な増加を示し, 妊娠後期における人胎児血γ-globulinの急増に比し, その消長とはやや異なる傾向を示した。

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