日本畜産学会報
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盲腸内消化に関する研究
II 家兎のhard fecesおよびsoft fecesの排泄状態とその成分について
神立 誠吉原 一郎吉田 勉
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1959 年 29 巻 6 号 p. 365-371

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抄録

家兎のhard feces (h. f.)とsoft feces (s. f.)の排泄量および排泄の経過を調べ,飼料,h. f., s. f.および盲腸内容物にっき,粗蛋白質,純蛋白質,組繊維を定量,また二型の糞の無機成分中Si, P, S, Mg, CaおよびFeの含量を調べ,とくにPについては無機態,有機態の分別定量を行なつて,次の結果を得た。
1. 家兎の食糞を完全に阻止するには,口が底網に絶対に届かぬようにすることが必要である。
2. 実験飼料給与時のs. f.の排泄量は,新鮮物として総糞量の約1/3,乾物として約1/4で,午前10時半ごろに飼料を与よた場合には,h. f.からs. f.へは,遅くも午後11時までに,常に少量の中間型の糞を伴つてきりかわつた。頚輪除去により,s. f.はほとんど,あるいは全く認められなくなった。
3. s. f.はh. f.に比べ,水分,粗蛋白質,純蛋白質の含量が着しく高く,粗繊維は著しく低かつた。盲腸内容物の組成はs. f.に酷似していた。
4. 粗蛋白質中の純蛋白質の割合は,s, f.はh. f.より明きらかに小さく,盲腸内容物も同様であった。
5. 灰分中の熱水可溶性区分の割合は,s. f.はh. f.よりはるかに大きかった。
6. P, S, Mg含量は,h. f.よりs. f.ではるかに大であつたが,アルカリ可溶性Siの含量は反対であった。
7. Ca含量は,h. f.よりs. f.で小であつたが,砂分をindexとした含量では差がなかつた。Fe含量は,乾物中では差がなかつたが,砂分をindexとすると,h. f.よりS. f.でわずかに大であつた。
8. 無機態Pは,h. f.よりs. f.に多く含まれていたが,有機態Pでは,その差が明瞭でなかつた。

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