日本畜産学会報
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傾斜地牧野の利用評価と牧養力の推定に関する研究
II. 自然草地における傾斜の高低差と表土の物理的性質との関係ならびに野草牧量の推定
佳山 良正
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1959 年 30 巻 4 号 p. 236-241

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抄録

前報と同様の土壤について,粘土含有率,土壤水分の張力,眞比重,孔隙率,容水量,水分当量,萎凋率,有効水分容量を測定し,これらと傾斜の高度との関係,ならびに野草収量との相関を求め,かつ土壤の全窒素,腐植および全酸度を加えて,野草の収量推定式を求めた.
1. 高度と有意の相関を示したものは,A1層の深さ,粘土含有率,容水量,水分当量,萎凋率,有効水分容量および張力であつた.
2. 野草の収量との間に有意の相関を示したのは,容水量,水分当量,有効水分容量および張力であつた.
3. これらの測定値のうち最も簡単に測定できるのは容水量であり,容水量,全窒素,腐植(全炭素×1.72)間のには密接な関係が見いだされた.その重相関係数は0.849で著しく有意である.従つて容水量と腐植の2変量を用いて,次の式から全窒素の推定が可能である.N=0.0065XH+0.0044XW-0.0583
4. 2変量を用いて野草収量の推定をするには,次の2式が5%水準で有意である.すなわち全窒素と全酸度より収量を推定するには,Y=2.4882+1.7586XN+0.0172XA張力と全窒素より収量を推定するには,Y=4.2287-0.010Xt+1.586XN3変量を使う場含は,張力と全窒素および全酸度より求められる.次の推定式は,危険率がほぼ1%程度で,かなり信頼度が高い.Y=4.1455-0.0124Xt=0.4401XN+0.0203XA

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