1. 粗蛋白質含量を異にする3種の飼料L, M, Hを2頭の羊号(3号および4号)に給与し,第一胃ガス組成,第一胃内液の性状,飼料の消化率,窒素平衡等を比較検討した.
2. 飼料の固形物中の粗蛋白質含量は,飼料Lでは7.60%,飼料Mでは10.54%,飼料Hでは12.61%であつた.
3. 飼料給与後2時間(午後3時)の第一胃ガス中,CO2/CH4の比率は,飼料Lの場合は1.37,飼料Mの場合は2.57,飼料Hの場合は3.54であつて,飼料中の窒素含量が多くなるほど,この比率が著しく増大することを知つた.しかし,飼料給与後22時間(午前11時)の第一胃ガスの組成は,3種の飼料の場合.ほぼ同じであつた.
4. 午前11時の第一胃内液の性状を,飼料L給与期と飼料M給与期とについて比較したところ,pHはほとんど同じであつたが,揮発性脂肪酸の濃度は飼料M給与期のほうが高く,その差は非常に有意であつた.飼料M給与期のアンモニア態窒素濃度は,飼料L給与期の約2倍であつた.直接還元糖および非還元糖の濃度は,両種の飼料の場合,ほとんど同じ値を示した.
5. 飼料の固形物の消化率は,3号山羊では,いずれの飼料の場合も同じく53%であつたが,4号山羊では,飼料Lの場合が55%,飼料Mおよび飼料Hの場合はともに60%であつた.
6. 飼料成分別の消化率を,飼料Lおよび飼料Mについて比較した結果,尿素の添加によつて,粗蛋白質と粗繊維の消化率が著しく向上するこをと認めた.
7. 窒素平衡は,いすれの山羊でも,飼料L給与期には負,飼料H給与期には正であつたが,飼料M給与期には,3号山羊では負,4号山羊では正という結果になつた.
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