日本畜産学会報
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山羊の尿中ゴナドトロピン
I. カオリン法による抽出
今井 清長谷川 靖彦中条 誠一
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1962 年 33 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

1. 性周期山羊および妊娠山羊の尿中ゴナドトロピン(GTと略す)を抽出するために,カオリン吸着法が適用された.これはBRADBURYらの方法を若干変更したもので,pH4.5でGTを活性カオリンに吸着させ,洗浄した後,1N-NH4OHでGTを解離•抽出し,pH5.5で冷アセトン5倍量を加えるものである.正常周期および閉経後婦人尿が,この方法の信頼性を確認するために用いられた.
2. カオリン抽出物(Crude UGSと呼ぶ)のGT効力を測定するために,マウスの子宮重量に基ずく生物学的検定が行なわれた.
3. 人のCrude UGSは,この検定によつて,十分に効力が測定された,山羊のCrude UGSの場合には,検定動物に死ぬものが多いため,このままでは,生物学的検定によつて効力を測定することができなかつた.
4. 山羊のCrude UGSに対して,その毒性を除去するため,若干の簡単な精製操作が加えられた.すなわち,水による抽出と,エタノールによる処理である.
5. これらの簡単な精製操作によつて,検定動物の斃死を防ぐことができた.しかし,原尿48時間相当量までの投与範囲では,子宮に陽性反応を導くことができなかつた.
6. これらの結果から,山羊のCrude UGSは,毒性が強く,簡単な精製ではそれが除去されないので,その生物学的検定は困難であるから,現在の製品にさらに高度の精製を加える必要があるものと考えられる.

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