日本畜産学会報
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山羊の尿中ゴナドトロピン
II. 液体クロマトグラフィーによる精製
今井 清長谷川 靖彦中条 誠一
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1962 年 33 巻 1 号 p. 59-64

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抄録

1. 出羊尿から得たカオリン抽出物(Crude UGSと呼ぶ)は,毒性が強いので,そのままでは生物学的検定が行なえない.従つて,さらにこれを精製するために,本実験で,Ca3(PO4)2を吸着剤とする液体クロマトグラフィー操作が適用された.
2. この精製操作によつて得られたGA, GB両分画のゴナドトロピン(GT)効力は,化学的検定と生物学的検定によつて測定された.前者はOrcinol反応によつて糖の量を測定する方法,後者は幼若雌マウスの子宮重量の増加を調べる方法である.
3. Orcinol反応による化学的検定について検討を加え,その実施の方法を確立した.
4. 生物学的検定の結果,原尿300~400ml相当量の製品の投与で,マウス子宮に陽性反応が得られ,また,この製品の投与による検定動物の斃死は,1例もなかつた.
5. これら2つの検定法による結果から,検体中の糖量と生物学的効力との間には,かなり密接な関連性があるように考えられた.
6. 以上の結果から,"カオリン抽出+Ca3(PO4)2精製"操作は,山羊の尿中GT測定のために有効であることが結論された.しかしクロマトグラフィーでは,一度に大量の尿を処理することができない欠点があるので,この点を補うような方法を考える必要がある.

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