1962 年 33 巻 5 号 p. 384-388
Waring blenderで細切したひき肉をよく混合し,これに各種の塩類を添加して,電気抵抗値の変化をみた.その結果,陽イオンはK+>NH4+>Na+>1/2Ca++,1/2Mg++の順に,陰イオンはCl->1/2SO4-->CH3COO->CH3CHOHCOO-の順に,電気抵抗値を低下させることがを認めた.燐酸塩の場合にはNaH2PO4>Na2HPO4>Na3PO4の順に,そしてNaH2PO4はCH3COONaと同程度に,この値を低下させた.
酸またはアルカリ添加の場合,特にH+は,移動度の割合には影響が少ない.この実験の範囲(0.2~1.6N溶液1mlを15gの肉に添加する)では,塩類添加の場合より,影響が少なかつた.これは,普通の肉におけるpHでは,酸が肉蛋白質のカルボキシル基に固定されるので,加える割合にはイオン濃度が増加しないためと考えられる.