日本畜産学会報
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33 巻, 5 号
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  • 大武 由之
    1962 年 33 巻 5 号 p. 365-373
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • IV. 尿素グルコシドの利用性
    笹子 謙治
    1962 年 33 巻 5 号 p. 374-377
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 尿素グルコシドが尿中に存在する場合のその定量法を示した.
    2. 反芻胃内のインフゾリアは,尿素グルコシドを分解も利用もしないが,反芻胃内の細菌はこれを分解利用する.
    3. シロネズミにおいて,尿素グルコシドば,窒素化合物の不足の一部を補う作用があることを認めた.その場合尿素グルコシドは,大部分が消化管から吸収され,そのうち30%がそのままの形で排泄された.
  • IV. 豚肉の加工処理と電気抵抗の変化
    大高 文男
    1962 年 33 巻 5 号 p. 378-383
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚肉を加工処理したときの電気抵抗の変化について実験し,次のような結果を得た.
    1. ほぼ同じ鮮度の肉片ならば,最初はそれらの電気抵抗値が違つていても,ひき肉にして均質化すれば,大体似た値となる.
    2. ひき肉を,70°Cで充分凝固するまで,または100°Cで10分以上,加熱すると,電気抵抗値は高くなる.この際,肉は脱水されるが,その程度は,加熱温度が高いほど,高いようである.
    3. ひき肉から肉汁をある程度除くと,電気抵抗値は高くなる.これに肉汁を加えれば,もとの値にもどる.ひき肉を水洗すると,肉中の水溶性成分がうしなわれるに従つて,電気抵抗値は著しく高くなる.
    4. 赤肉のひき肉に,肉量の20%程度の水を加えても,その電気抵抗値はほとんど変化しない.さらに多く加水すると,その値は高くなる傾向が認められる.風乾して,肉の水分を幾分へらすと,電気抵抗値は低下する.
    5. ひき肉に脂肪を添加すると,その電気抵抗値は高くなる.肉の脂肪率と電気抵抗値との間には,次の式が成立する.測定時の肉温は15°Cである.
    F=63.2-2.35×104/(R+200)
    この式で,Fは脂肪量(%),Rは電気抵抗値(Ω)である.
  • V. ひき肉の電気抵抗に対する酸,アルカリおよび塩類の影響
    大高 文男
    1962 年 33 巻 5 号 p. 384-388
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Waring blenderで細切したひき肉をよく混合し,これに各種の塩類を添加して,電気抵抗値の変化をみた.その結果,陽イオンはK+>NH4+>Na+>1/2Ca++,1/2Mg++の順に,陰イオンはCl->1/2SO4-->CH3COO->CH3CHOHCOO-の順に,電気抵抗値を低下させることがを認めた.燐酸塩の場合にはNaH2PO4>Na2HPO4>Na3PO4の順に,そしてNaH2PO4はCH3COONaと同程度に,この値を低下させた.
    酸またはアルカリ添加の場合,特にH+は,移動度の割合には影響が少ない.この実験の範囲(0.2~1.6N溶液1mlを15gの肉に添加する)では,塩類添加の場合より,影響が少なかつた.これは,普通の肉におけるpHでは,酸が肉蛋白質のカルボキシル基に固定されるので,加える割合にはイオン濃度が増加しないためと考えられる.
  • 和田 宏, 湯原 正高
    1962 年 33 巻 5 号 p. 389-392
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    エストロジェン注射•卵巣割去の成熟ラツテにおいてリラキシン注射後の子宮組織の水分量の変化を研究した.
    30GPU(モルモット単位)のリラキシン水溶液を1回,皮下注射すると,子宮の水分量は急速に増加し,6時間で最大に達したが,その後,徐々に減少して,約1日で最初の量にもどつた.このようにリラキシンは,エストロジェンと協同的に働いて,子宮の水分量を増加させた,しかし,リラキシン単独では,子宮の水分に対して,なんの効果も表わさなかつた.なおリラキシンの本性についても論議した.
  • IV. 副腎除去および温度処理後の家兎の下垂体前葉細胞の変化と神経分泌との関連
    中原 達雄
    1962 年 33 巻 5 号 p. 393-400
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    副腎除去後の家兎の視床下部における神経分泌は,除去後1日および3日では,視索上核および脳室旁核の細胞に空胞形成や顆粒の減少を伴う,著しい亢進を示す.除去後5日および8日では,神経分泌細胞および後葉に次第に顆粒が増加し,分泌機能は正常に近くなる.前葉では,除去後1日に酸好性細胞が肥大増数し,塩基好性細胞が減少する,除去後3日,5日および8日には好性細胞が次第に減少し,塩基好性細胞と色素嫌性細胞が多くなる.
    低温処理動物の視床下部における神経分泌は,10分および20分間処理の場合には極度に亢進し,視索上核および脳室旁核の細胞に著しい顆粒の減少がみられる.後葉では,時間の経過につれて,顆粒が減少する.30分および1時間処理の場合には,神経分泌細胞の顆粒は次第に増加して,対照と変わらなくなる.前葉では,10分間処理の場合は,酸好性細胞が肥大増数し,20分および30分間処理の場合は,酸好性細胞,塩基好性細胞ともに,顆粒の減少を示す.
    高温処理動物の視床下部における神経分泌は,10分および20分間処理の場合には,いずれも著しい亢進を示し,視索上核および脳室旁核の細胞に空胞形成や顆粒の減少がみられる.前葉では,10分間処理では酸好性細胞が増加し,塩基好性細胞の顆粒が減少する.20分間処理は酸好性細胞が減少し,塩基好性細胞が多くなる.以上の結果から,家兎において,副腎除去および温度処理は,いずれも,その初期に,視床下部における神経分泌の亢進を起こし,その分泌物の一部は前葉に進入し,前葉の酸好性細胞に肥大と増数を起こさせ,塩基好性細胞には,主として顆粒の放出を行なわせるものと想像される.
  • 中井 秀了, 土屋 文安, 浅野 悠輔
    1962 年 33 巻 5 号 p. 401-407
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛乳を60~120°Cに各10分間加熱し,その場合に起こる種々の理化学的変化について研究した.またその変化の意義を,蛋白質の消化性と関連させて考えた.
    1. 脱脂乳を加熱すると,超遠心分離非沈降性窒素量は,90°Cまでは減少するが,100°C以上では増加に転ずる濃縮状態で加熱すると,減少度はさらに低く,100°C以上での増加度はさらに大きい.
    2. ホエーを加熱すると,超遠心分離非沈降性窒素量および非カゼイン態窒素量は,非濃縮状態のときは70°C以上で,濃縮状態のときは90°C以上で減少し,両窒素量の変化の曲線は,ほとんど一致する.
    3. 脱脂乳を加熱すると,非カゼイン態窒素は,ホエーの場合と同様の傾向で減少していくが,濃縮乳加熱の場合は,100°C以上で,かずかではあるが,ふたたび増加する傾向がある.
    4. 超遠心分離を行なつて得た上澄液では,カルシウムおよび燐量は,加熱温度の上昇に従い,徐々にわずかながら減少する.
    5. SH基出現量は,脱脂乳では100°Cで,濃縮脱脂乳では90°Cで,最高である.非濃縮状態よりも,濃縮状態で加熱した場合のほうが,はるかに出現量が少ない.
    6. 〓過性窒素量は,濃縮状態で加熱した場合に,著しく減少する。
    7. 牛乳を加熱すると,蛋白質の人工消化率,とくにパンクレアチンによる分解が,急激に増加する.濃縮状態で加熱した場合,とくにこの増加度が大きい.
  • V. 家兎における下垂体前葉の神経調節に関する実験的研究
    中原 達雄
    1962 年 33 巻 5 号 p. 408-416
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 下垂体茎を遮断すると,前葉では,酸好性細胞が極度に減少し,形も小さくなる.塩基好性細胞は増加するが,その形は非常に小さくなる.
    2. 甲状腺除去の後,下垂体茎を遮断すると,前葉では,塩基好性細胞の数は増加するが,肥大した甲状腺除去細胞は極度に減少する.
    3. 甲状腺除去の後,下垂体に後葉ホルモンを連続注射すると,前葉では,甲状腺除去細胞が消失し,酸好性細胞の増加と,gonadotrophsの増数肥大がみられる.
    4. 下垂体に後葉ホルモンを連続注射すると,前葉では,酸好性細胞が著しく増加し,塩基好性細胞が減少する.皮下に後葉ホルモンを連続注射すると,前葉では,酸好性細胞の増数と,塩基好性細胞のうちgonadotrophsの増数肥大がみられる.
    5. 内頸動脈に後葉ホルモンを注射すると,前葉では,酸好性細胞と塩基好性細胞に,顆粒の減少と空胞形成が認められる.
    6. 高張食塩水を注射すると,視床下部-下垂体後葉神経分泌系では顆粒が減少し,視床下部の神経分泌性神経細胞は分泌亢進を起こす.前葉では,酸好性細胞に顆粒が減少し,塩基好性細胞は周辺部に空胞を形成する.
    7. 交尾後15分以内に下垂体茎を遮断すると,前葉の酸好性細胞および塩基好性細胞には,まつたく顆粒の減少がみられない.20分以後に遮断すると,酸好性細胞は顆粒を減少し,塩基好性細胞は周辺部に空胞を形成し,いずれの細胞体も小さくなる.
    8. 下垂体を除去した家兎の視索上核および脳室旁核の細胞には,本実験期間では,対照と比較して,余り変化がみらなかつた.下垂体を除去した後の視床下部の腹側部では,血管の周囲に,多量の神経分泌物の集合がみちれる.
    以上の結果から,前葉細胞の機能は,後葉物質によつて支配されているものと推論される.
  • I. ガスクロマトグラフィーによるチーズ中の揮発性遊離脂肪酸の定量法
    中西 武雄, 中沢 勇二
    1962 年 33 巻 5 号 p. 417-423
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    チーズの風味成分の一つと考えられる微量の揮発性遊離脂肪酸を定量するために,メチルエステル化による場合と比較して,脂肪酸の抽出,エチルエステル化のための前処理条件,およびガスクロマトグラフィーの操作条件を検討した.
    脂肪酸は,加水•粉砕したチーズ試料を硫酸酸性にしてエーテル抽出し,苛性ソーダを添加し,ナトリウム塩として分離した.これを酸性で水蒸気蒸留して,揮発性脂肪酸を得た.得られた脂肪酸は,エタノール塩酸によつてエチルエステル化し,メチルエステル化と比較して,エステル化の優劣を検討した.その結果,揮発性脂肪酸の分析には,エチルエステルのほうが,すぐれていることがわかつた.そして,ガスクロマトグラフィーによる揮発性遊離脂肪酸のエチルエステルの定量には,種々検討した結果次の条件が適当であることが明らかとなつた.すなわち,Dinonylphthalate-celite 545 (4:10)3mカラム,恒温槽温度120°C,試料室温度200°CおよびキャリアーガスHeの流速50ml/分である.なお,定量のために絶対検量線を作成した.
  • XII. 鞣製に伴うゼラチンゼリー含水量の変化におよぼす有機酸塩の影響
    先本 勇吉, 大杉 次男
    1962 年 33 巻 5 号 p. 424-429
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    クロムなめし液の鞣製効果におこぼす有機酸塩の影響を,鞣製過程における皮質物の状態変化から検するために,鞣製に伴うゼラチンゼリーの含水量の変化におよぼす酢酸ソーダ,修酸ソーダの影響について,試験した.結果は次の通りである.
    1. SO2還元液に浸漬したゼラチンゼリーの含水量は,滲透クロムの増加に伴つて減少したが,含水量の減少と滲透クロム量の増加との間には,直接の関係は認められなかつた.
    2. 有機酸塩添加SO2還元液に浸漬したゼリーの含水量は,有機酸塩添加量が大きくなるほど,無添加のSO2還元液に浸漬したゼリーの含水量より大となつた.
    3. マスク化クロム混合液に浸漬したゼリーの含水量は,有機酸塩添加直後の,有機酸塩濃度が等しいクロム液に浸漬したゼリーの含水量よりも,さらに増加した.
    4. SO2還元液に浸漬した無処理ゼリーの含水量は,浸漬初期にまず増加し,以後,鞣製が進むに従つて減少した.それに比べて,有機酸塩添加クロム液に浸漬したゼリーの,鞣製初期における含水量は,クロム液のpHの上昇にもかかわらず,有機酸塩添加量が大きくなるほど増加し,鞣製の進行に伴うその後の含水量の減少は,ゆるやかであつた.
    5. 層別のゼリー含水量は,SO2還元液の場合,短い鞣製期間内で時間的ずれをもつて,比較的大きく増減した.これに比べて,有機酸塩添加液では,ゆるやかに変化し,外層から内層への含水量の増減が,円滑に行なわれていた.
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