1963 年 33 巻 6 号 p. 480-483
1. P. caseicolumの蛋白分解酵素には,そのpH作用曲線からみて,活性の峰をpH3.0付近に示す酸性プロテアーゼ,pH6.5付近に示す中性プロテアーゼ,およびpH10.5付近に示すアルカリ性プロテアーゼの3種類が存在し,酸性プロテアーゼは,他の2つに比して,活性が著しく低いことが認められた.
2. アルカリ性プロテアーゼは,最適温度が30°C付近で,熱に対して不安定である.中性プロテアーゼは,最適温度が35~40°Cの範囲にあつて,前者に比し,熱に対してかなり安定である.また酸性プロテアーゼは,最適温度が35°Cであつた.
3. 半硬質白カビチーズの最適食塩濃度である2.5~3.0%の範囲では,中性プロテアーゼの活性は7~13%低下するだけで,実際のチーズの熟成においては,それほど影響がないと思われる.
4. カゼイン培地中にK2HPO4が50mg%存在する場合は,P. caseicolumの中性プロテアーゼの活性度が最高であることが認められた.