発生の6,7,8,9日齢の胚盤胞における胚盤胞液の化学組成,とくに,グルコース,乳酸,ピルビン酸,α-ケトグルタール酸,揮発性脂肪酸,アミノ酸,全窒素,非蛋白態窒素,蛋白態窒素についてその動態を母体血液,腹水液像との比較において研究した.前記の各物質はそれぞれ増加率が異なるが,6日齢から7日齢のあいだで著しく増加し,7日齢以後における濃度変化は物質により違うことを認めた.グルコースは7日でほぼ血液濃度に等しくなり,以後その濃度は減少する傾向を示した.胚盤胞液の乳酸は血液濃度とほぼ同じであつた.全ケト酸は前記日齢の各時期で血液,腹水液濃度の約2倍,アミノ酸は発生が進むに従つて漸増し,全窒素と蛋白態窒素は8日齢に至り血液濃度に達する.他方,非蛋白態窒素は7日齢以後は同じ濃度で経過することを認めた.