日本畜産学会報
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リンブルガーチーズより分離した酵母のリパーゼの生産性と 産出リパーゼの特徴
細野 明義鴇田 文三郎
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1970 年 41 巻 10 号 p. 519-527

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抄録

リンブルガーチーズに棲息する酵母のリパーゼの生産性と産出したリパーゼの諸性質を知る目的でリンブルガーチーズから分離した2種の酵母,Candida mycodermaならびにDebaryomyces kloeckeriについて実験を行なった.得られた結果は次のとおり要約される.
(1) 両酵母とも明らかにリパーゼの生産性を有していることが認められ,C. mycodermaはpH7.0, D.kloeckeriはpH5.5においてそれぞれリパーゼの産出至適pHを有していた.このことから,リンブルガーチーズにおいてこれら酵母によりリパーゼの産出される時期は主に熟成20日以降と推定された.(2) それら酵母により産出されたリパーゼは乳脂肪を分解し,各種脂肪酸を遊離させるが,遊離した脂肪酸のうち,ミリスチン酸,パルミトレイン酸,ステアリン酸およびオレイン酸の遊離状態に両リパーゼ間の著しい相違を認めることが出来た.
(3) 両リパーゼともpH4.5においてリパーゼ活性が最も高く,かつC. mycodermaの生産するリパーゼは35°C付近で,またD. kloeckeriの生産するリパーゼは30°C付近でそれぞれ高いリパーゼ活性を有して
いた.
(4) Sephadex G-100によりそれらリパーゼを篩別し,おおまかな分子量を推定するとC. mycodermaの生産するリパーぜの分子量は約30,000-38,000,D.kloeckeriのそれは約12,000-21,000と推定された.

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