抄録
飼料中Cu含量がラットの1日当り尿中Cu排出量および血清中Cu含量に及ぼす影響について検討した.採尿装置はガラス板型を用いた.その結果,成熟雌ラットでは,飼料中Cu含量が1.1ppmから4.6ppmまででは尿中Cu量がほぼ一定であった.飼料中Cu含量が0.6ppmになると,尿中Cu量は減少した.血清和Cu含量にも同様の傾向がみられた.成熟雄ラットにおいても,尿中Cu量と血清中Cu含量とがそろって,低Cu飼料では少なく,高Cu飼料では多くなった.これらのことから,血中Cu含量を尿中Cu量の増減から検討できるものと推察され,ラットやマウスなど,血液の連続サンプリングの困難な小動物で便利である.なお,飲水量が極端に多くまたは少なくないばあいには,尿中Cu日量の検討に際して飲水量や排尿量を考慮しなくてもよいことがわかった.