1972 年 43 巻 5 号 p. 239-243
エタノールによる分画法,SephadexG-75によるゲル〓過法およびDEAF-SephadexA-50によるイオン交換法を用いて,Saccharomyces fragilisの菌体の自己分解液に存在する蛋白分解酵素を分離精製し,その性質について調べた.
アルコールで沈殿させることにより酵素活性が完全に回収され,比活性が8倍に精製された.これをSephadexG-75でゲル〓過すると比活性が約24倍に増加した.得られた酵素液をDEAE-SephadexA-50で分画することにより,ProteaseI,IIおよびIIIの3つの活性画分が得られ,比活性はそれぞれ自己分解液の42,75および67倍であった.
ProteaseIおよびIIの最適pHはいずれも9.0であり,ProteaseIIIの最適pHは3.0であったが,3つの酵素ともpH5.5~6.5(酵母チーズのpH)に50%以上の活性を示すので,いずれもチーズ熟成に関与すると思われる.
これらの酵素は共にPCMBおよびDFPによって阻害されるが,EDTAには全く阻害されない.