筋肉内脂肪に及ぼす飢餓の影響を確めるために,飢餓めん羊の筋肉を組織化学的に調べた.屠殺時に,対照の動物と同程度に多量の皮下脂肪を認める飯餓めん羊では,筋東間および筋束内の中性脂肪滴は対照の動物よりも多く,いっぽう皮下脂肪の少ない飢餓めん羊は,対照の動物よりもわずかに少ないか,または同じ程度であった。前者の飢餓めん羊では,対照のめん羊では見られない脂肪小滴を有する筋線維が多く,後者の飢餓めん羊では,非常に少ないかまたは認められなかった.この脂肪小滴は,SUZUKIのC, D型筋線維のほとんどすべてとE型筋線維の多くに見られ,さらに1個体では,少数のA型筋線維にも見られた.餓餓においてもっとも影響を受けたSUZUKIのB型筋線維には,脂肪小滴は認められなかった.このことは,飢餓めん羊における筋線維の脂肪化は赤筋線維にのみ生ずることを暗示している.この脂肪化と細胞傷害との関係について考察した.