日本畜産学会報
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めん羊のノルアドレナリンおよびアドレナリンの尿中排泄におよぼす高温の影響
佐々木 康之大城 政一三浦 稔津田 恒之
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1973 年 44 巻 5 号 p. 248-257

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抄録

著者らはさきにめん羊のカテコラミン排泄が寒冷によって著しく増加することを報告した.本報告はめん羊のノルアドレナリン(NA)およびアドレナリン(A)排泄におよぼす高温の影響を検索することを目的とし,以下の結果を得た.
1. 高温時における実験にさきだち,まず,常温(気温20°C,相対湿度70%)におけるめん羊のカテユラミン排泄値を三週に亘って測定し,NAおよびAの正常排泄量がそれぞれ14.1および1.4μg/日であることを明らかにした.
2. めん羊を常温で,一週間飼育したのち環境温を30°C(相対湿度70%)に上げると,呼吸数はただちに100回/分以上に増加したが,その後の一週間におけるNAおよびA排泄量,直腸温,心拍数に変化は認められなかった.
3. 同様に環境温を常温より35°C(相対湿度70%)に上昇させると,呼吸数は200回/分以上に増加し,直腸温が1.3°C上昇して39.9°Cに達した.このような高体温においてもNA, A排泄量,心拍数に変化は認められなかった.
4. 以上の結果にもとづきつぎのように結論した.めん羊の交感神経副腎髄質系の活動は寒冷時には活発になるが,高体温が惹起されるような緊急状態ともいうべき高温環境下ではその活動は高まらない.

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