日本畜産学会報
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サイレージの品質および飼料へのアミノ酸添加が育成豚による赤クローバーサイレージの利用性におよぼす影響について
大島 光昭
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1975 年 46 巻 2 号 p. 56-61

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抄録

さきに,良品質(pH3.9)の赤クローバーサイレージの育成豚に対する生物価は約50であるがMet添加により70以上に向上することを報告した.今回は,平均体重32kgのランドレース雄豚および50~60gのウィスター系雄ラットを用い,第2制限アミノ酸,サイレージ品質と栄養価,および詰込み時に添加したフスマがサイレージの熟成および栄養価におよぼす影響について検討した.サイレージ調製時に生草当たり2%のグルコースあるいは15%のフスマを添加したが,両添加区間にサイレージの化学的品質の差異はみられず,1番刈の赤クローバーからはpH5.3,2番刈からはpH4.8のサイレージが得られた.ラットに対するサイレージ原料赤クローバーの第2制眼アミノ酸は,分析値からはLysおよびHisだったが,動物試験の結果Thrもその一つだった.そのうえ,悪質サイレージの熟成中にThrが著しく分解されることが判明した.グルコース添加1番刈および2番刈サイレージにMetを添加して豚に給与した際の生物価は25および70だったが,さらにHis,LysおよびThrを添加することにより56および85に向上した.フスマ添加サイレージの生物価は1番刈13,2番刈52だった.フスマのみの生物価は48であり,1番刈サイレージ中の乾物の約50%がフスマに由来するところから,サイレージの品質低下に伴いフスマの栄養価も著しく減退することがわかった.

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