抄録
白色レグホーン成雄鶏にグルコース,パルミチン酸,マーガリン酸およびステアリン酸を給与して,そのエネルギー利用性を調査した.維持以上にグルコースを312.0kJ相当量与えると,鶏は1日当たり12.8gの体重を増加した.また与えたグルコースの98.1%が代謝され,さらに代謝されたエネルギーの86.3%が組織脂肪として体内に蓄積した.維持以上に給与したグルコースがすべて脂肪組織のトリグリセリドに変換したと仮定すると,理論的には摂取代謝エネルギーの898%が体脂肪に変換することになり,これは呼吸試験により得られた実験値とよく類似した.維持量以上にマーガリン酸を324.3kg相当量与えても鶏の体重増加はみられず,またマーガリン酸の代謝率は16.0%にすぎなかった.このように代謝が低いことは,マーガリン酸の消化率が18%と極めて低かったことに由来し,可消化エネルギーに対する代謝エネルギーの比率を計算すると89.1%になった.なおパルミチン酸とステアリン酸はマーガリン酸よりも利用性が低かった.