日本畜産学会報
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46 巻, 6 号
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  • 滑川 治朗, 大田 霙三, 立川 征夫
    1975 年 46 巻 6 号 p. 317-325
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳牛の放牧育成について,1965年以来,放牧牛の発育とその阻害要因について調査検討した.1) 茨城県里美牧場の放牧育成牛の発育パターンをみると,6月中旬から8月上旬にかけて増体量が少なく,以後9月下旬にかけて増体する,1969年~1971年の3年間の1日増体量は,平均0.34kgであった.2) 放牧育成牛の血清蛋白質は,放牧中増加の傾向を示し,アルブミン分画値は,入牧初期顕著な減少を示す.γ-グロプリンおよび血清尿素窒素は,入牧後漸増する.3) 放牧育成牛の発育を阻害する要因として,ピロプラズマ病による障害が極めて顕著で,放牧牛の約13.0~36.4%は,その被害をうけていた.4) ピロプラズマ病予防のため,里美混合ワクチン,小型ピロプラズマワクチンの接種を行い,無処置初放牧牛との発育を比較した.その結果,1969年,1970年の成績では,無処置初放牧牛の増体は,平均0.24kg/日に対し,里美混合ワクチン接種牛は,0.41kg/日となり,子牛の発育は改善された.5) この放牧地の牧草中のFe, Cuの含量は,ほぼ正常であった.6) ピロプラズマ病の感染防除により,放牧牛の発育は,ある程度改善されるが,さらに発育を阻害する他の要因,管理方法について考慮する必要のあることを推定した.
  • 高 泰松, 田先 威和夫
    1975 年 46 巻 6 号 p. 326-333
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏の肝臓および血漿の各脂質分画の脂肪酸組成に及ぼすステアリン酸,リノール酸,マーガリン酸給与の影響を無脂肪飼料給与時と比較検討した.その結果,増体重,肝臓重量および肝臓中各脂質分画の含量は給与脂肪酸によって影響されなかった.また肝臓には5.9-7.8%の脂質が含まれ,そのうちりん脂質が41-50%で最も多く,トリグリセジドは27-30%,遊離コレステリンは9-12%,コレステリンエステルは1-2%を占めていた.マーガリン酸を給与すると,肝臓および血漿の各脂質分画に17:0および17:1が出現し,これら脂肪酸の分布値は,肝臓では各分画間に有意差がなかったが,血漿ではトリグリセリドで17:0が,コレステリンエステルで17:1が他分画よりも有意に高かった.18:0の給与は肝臓各分画の18:0の分布値に影響を及ぼさなかったが,血漿では遊離脂肪酸の18:0の分布値を高めた.また18:2の給与によって肝臓および血漿の各脂質分画に18:2の分布値が他の分画よりも有意に高かったが,血漿では各分画の間に有意差がなかった.マーガリン酸およびリノール酸の給与により,内因的に合成される16:1および18:1の分布値が肝臓では減少傾向を示した.血漿りん脂質中には20:3と思われる脂肪酸が検出されたが,その分布値は18:2の給与により有意に低下した.以上のごとく,肝臓および血漿中各脂質分画の脂肪酸組成は給与した脂肪酸により特異的に影響を受けることがわかった.
  • 志賀 瓏郎, 辻 重治郎, 篠崎 謙一, 小林 雄一
    1975 年 46 巻 6 号 p. 334-341
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    平均生後日数163日,平均体重31.7kgの若令雄めん羊を25頭用い,8月1日より11月13日までの104日間,濃厚飼料,乾草および生草の一定量にプロピレン•グリコール(PG)を添加給与し,PGの動物の発育と第一胃内VFA発酵に及ぼす効果を検討した.(1) 基礎飼料にPGを1日おきに0.5g/kg B. W.添加したP-A群および1.0g/kg B. W.添加したP-B群は,基礎飼料のみを給与した対照群に対していずれも有意の増体効果を示し(P⟨0.05),1日当たりの平均増体量は,対照群の78.7gに対し,P-A群104.2g, P-B群104.9gとそれぞれ32.5%と33.4%の増体率であった.(2) 実験期間中の飼料要求率は,対照群の表11.3に対して,P-A群8.6, P-B群8.5といずれも著しく飼料効果がよいことを示した(P⟨0.05).これらの増体率と飼料要求率における著しい効果は,主として実験開始後最初の31日間(第1期)にもたらされた.(3) 第1期における採食後約5時間目の第一胃内プロピオン酸濃度は,対照群の22.4mEqに対し,P-A群30.9mEq, P-B群37.3mEqとPG投与群はいずれも有意の増加を示し(P⟨0.01),酢酸に対するプロピオン酸の濃度比(以下C2/C3比と省略)も対照群の3.8に対し,P-A群2.4,P-B群23といずれも著しく低下した(P⟨0.01).総揮発性脂肪酸(以下総VFAと省略),酢酸,プロピオン酸および酪酸濃度は,実験期間を通じて,PG投与群,とくにP-B群が高い値を示した.(4) 屠体の解体成績では,PG投与群は,対照群にくらべ,産毛量,枝肉量および赤肉量が多い傾向を示した.(5) 以上の結果より,PGの少量の飼料添加は,動物の採食量に影響を与えず,発育を促進し,屠体の解体成績においても良好な結果をもたらすことが示された.また,PG投与量の多少により増体量に差がなかったことから,PGの増体効果は,PGのもつエネルギー源としての作用によるよりは,PGによる第一胃内発酵の変化によることが示唆された.
  • 根岸 孝, 佐藤 公輔, 広瀬 秀司, 藤野 安彦
    1975 年 46 巻 6 号 p. 342-346
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 卵白脂質の含量は0.011-0.014%で,中性脂質と極性脂質の割合は7-6:1であった.2. 中性脂質ではワックス,遊離脂肪酸および遊離ステールが,また極性脂質ではスフィンゴミエリンとセレブロシドが主なものであった. 3. ワックスの主な構成分はオレイン酸とオクタデカノールであった. 4. 遊離脂肪酸画分の主成分は,パルミチン酸,オレイン酸およびリノール酸であった. 5. 遊離ステロールとしては,コレステロールのみが検出された. 6. スフィンゴミエリンの主な構成分はパルミチン酸とスフィンゴシンであった. 7. セレブロシドの主な構成分はパルミチン酸,デヒドロフィトスフィンゴシンおよびグルコースであった.
  • 藤田 裕, 勝俣 和悦
    1975 年 46 巻 6 号 p. 347-352
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牧草サイレージ中窒素化合物の形態と利用性の関係を検討するため,混播1番草を原料とする牧草サイレージを搾汁処理によって水溶性区分と非水溶性部を主体とする搾汁残渣区分に分け,それぞれ窒素成分の形態的分布を調べるとともに,メン羊を用いた窒素出納試験によって各区分の窒素利用性を比較した.分画された水溶性区分中には,たんぱく態窒素は検出されず,水溶性非たんぱく態窒素としてはアミノ態窒素が過半(全窒素中61%)をしめたのに対し,水溶部を除去した搾汁残渣区分ではたんぱく態窒素が主体(73%)となった.窒素出納成績にもとづく窒素の利用性は,窒素消化率では水溶性区分が搾汁残渣区分およびサイレージ原物に比較して高かったが,水溶性区分摂取時のメン羊では尿中への窒素排泄が多く窒素蓄積は水溶性区分が最も低く,サイレージ原物がこれにつぎ,残渣区分が最も高かった.牧草サイレージの窒素利用性には,サイレージの埋蔵過程における窒素化合物の形態的変化,とくに水溶性窒素区分の増大が主要因として関与することが示された.
  • 吉田 文男, 樋口 正
    1975 年 46 巻 6 号 p. 353-359
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    著者らは,哺乳動物の卵巣機能とこの組織内catheps-inとの間の生理学関係を解明する目的で,幼若ラットにPMS次いでHCGを投与して得られた多数のグラーフ卵胞を有する卵巣及び偽妊娠期卵巣を用い,そのホモジェネート上清中のcathepsin活性を測定し,さらにこれらcathepsin活性の若干の性質を調べた.cathepsin活性は,casein基質を用い,孵置後のTCA可溶性pept-ideをLowry法で測定する方法によった.結果は次のごとくである.1) gonadotropin処理幼若ラット卵巣ホモジェネート上清中には2.5~3.0に至適pHを持つcathepsin活性が存在する.2) 多数のグラーフ卵胞を有する卵巣中のcathepsin活性はホモジェネート上清蛋白1mg当たり2.3単位であったのに対し,偽妊娠期卵巣のそれは34単位であった.3) これらcathepsin活性はpH3または6の条件下37°C以下の温度では比較的安定であるけれども,pH9では4°Cでさえも極めて不安定であった.4) これらcathepsin活性は酵素の活性化剤あるいは阻害剤として普通よく知られている若干の物質によりほとんど影響されなかった.
  • 朴 亨基, 伊藤 肇躬, 深沢 利行
    1975 年 46 巻 6 号 p. 360-366
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    正常豚肉およびPSE豚肉からのミオシンBの抽出性とこれらの豚肉で製造したソーセージのレオロジー的性質について検討した.PSE豚肉からのミオシンBの抽出性は正常豚肉からのミオシンBの抽出性に比して著しく低く,かつまた,その抽出性は豚肉のpHに依存することが明らかになった.PSE豚肉でつくったソーセージの硬さ,凝集性,弾力性および咀嚼性はいずれも正常豚肉でつくったソーセージのものよりも著しく劣っていた.ピロリン酸塩の添加は正常豚肉からのミオシンBの抽出性およびソーセージのレオロジー的性質を著しく高めるが,PSE豚に対してはそれほどの効果は認められなかった.これらの知見もとづき,ソーセージのレオロジー的性質とミオシンBの抽出性との関係について考察した.
  • 高 泰松, 田先 威和夫
    1975 年 46 巻 6 号 p. 367-373
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン成雄鶏にグルコース,パルミチン酸,マーガリン酸およびステアリン酸を給与して,そのエネルギー利用性を調査した.維持以上にグルコースを312.0kJ相当量与えると,鶏は1日当たり12.8gの体重を増加した.また与えたグルコースの98.1%が代謝され,さらに代謝されたエネルギーの86.3%が組織脂肪として体内に蓄積した.維持以上に給与したグルコースがすべて脂肪組織のトリグリセリドに変換したと仮定すると,理論的には摂取代謝エネルギーの898%が体脂肪に変換することになり,これは呼吸試験により得られた実験値とよく類似した.維持量以上にマーガリン酸を324.3kg相当量与えても鶏の体重増加はみられず,またマーガリン酸の代謝率は16.0%にすぎなかった.このように代謝が低いことは,マーガリン酸の消化率が18%と極めて低かったことに由来し,可消化エネルギーに対する代謝エネルギーの比率を計算すると89.1%になった.なおパルミチン酸とステアリン酸はマーガリン酸よりも利用性が低かった.
  • Motoaki KOSUGIYAMA, Akira KATADA, Takeaki KIKUCHI, Tadashi KYUMA
    1975 年 46 巻 6 号 p. 374-376
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    TRENKLE1) described in the review that basal plasma insulin levels were 15-50μU/ml in cattle. YOUNG et al.2) found no significant relationship between insulin level and age. IRVIN and TRENKLE3) reported that plasma insulin levels could not be related to age or breed in cattle from 18 to 371 days of age. At 371 days, steers had higher levels of plasma insulin than heifers. These increased levels in the steers were reasonably related to the consumption of finishing rations rather than age or sex.
    At present, however, no report is available about plasma insulin levels of Japanese Shorthorn and Japanese Black Cattle. The purpose of this study was not obtain basic data of plasma insulin concentrations in calves of Japanese Shorthorn and Japanese Black Cattle and to see whether the results obtained in other breeds can be held in these Japanese breeds or not. In this study, young sucking calves which were not fed with rations were used to investigate the breed difference of plasma insulin levels, as it was known that insulin levels of adult calves were influenced by feeding rations3).
  • Tsutomu FUJIHARA, Iwao TASAKI
    1975 年 46 巻 6 号 p. 377-379
    発行日: 1975/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    It was demonstrated by CHALMERS et al.1) that sheep fed a low protein ration retained more nitrogen in the body and excreted less nitrogen in the urine when casein was duodenally infused than when casein was infused ruminally. CHALMERS and OGILVIE2) later observed in sheep that the abomasal infusion of casein together with glucose increased nitrogen retention compared to the abomasal infusion of casein alone. The objective of the present experiment was to determine whether or not starch would influence the utilization of casein when starch and casein were simultaneously infused into the abomasum of adult goats.
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