日本畜産学会報
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鶏の脂肪組織および浅胸筋の脂肪酸組成に及ぼす給与脂肪酸の影響
高 泰松田先 威和夫
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1975 年 46 巻 9 号 p. 509-514

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抄録

無脂肪飼料およびそれにステアリン酸,リノール酸あるいはマーガリン酸を添加した飼料を鶏雛に給与し,その頸部脂肪組織および浅胸筋の脂肪酸組成に及ぼす給与脂肪酸の影響を調査した.頸部脂肪組織は34~62%の脂質を含有し,そのうちトリグリセリドが97~98%を占めていた.また脂肪酸を給与するとその脂肪酸は脂肪組織中に比較的多量分布し,またマーガリン酸給与はパルミトオレイン酸の分布値を低下させ,リノール酸給与はステアリン酸の分布値を増加させた.浅胸筋は1.3~1.7%の脂質を含有し,そのうちリン脂質が77~79%,遊離コレステリンが11~13%を占めていた.各脂質分画でリノール酸の給与はリノール酸の分布を多くし,マーガリン酸の給与によリマーガリン酸およびヘプタデセン酸が検出されたが,ステアリン酸の給与はステアリン酸の分布値に影響を与えなかった.浅胸筋脂質の大部分を占めるりん脂質では,ステアリン酸の給与によりオレイン酸が多くなり,リノール酸の給与はパルミチン酸およびオレイン酸の分布値を低下させ,ステアリン酸の分布値を高くした.またりん脂質中にはエイコサトリエン酸およびアラキドン酸が検出され,リノール酸の給与により前者は低く後者は高くなった.

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