日本畜産学会報
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真空包装牛肉から分離した細菌の低温における増殖
大高 文男井坂 正勝永山 精美清水 潮加藤 博
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1975 年 46 巻 9 号 p. 515-521

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抄録

1°C,4週間貯蔵した真空包装の牛肉より優勢に分離された4種の菌株,Serratia liquefaciens, Hafnia sp., Lactobacillus sp.およびLactobacillus sp. IIについて低温度域(-2~6°C)における増殖性,および増殖の至適温度について検討した.なお前二者は好気および嫌気培養,後二者は嫌気培養のみ行った.S. liquefaciensおよびHafnia sp.の増殖至適温度は,好気および嫌気のいずれの条件下でも約35°Cであり,Lactobacillus sp. IおよびIIのそれは,それぞれ35°Cおよび30~35°Cであった.これらの4菌株は0°Cでも増殖することができ,その温度における分裂時間は,S. liquefaciensでは好気条件で31.4時間,および嫌気条件で56.8時間,Hafnia sp.では同じくそれぞれ59.0および66.9時間,またLactobacillus sp. Iでは65.4時間,そしてLactobacillus sp. IIでは30.1時間であった.S. liquefaciens(好気条件下で)およびLactobacillus sp. Iは,-2°Cでも増殖し,その時の分裂時間はそれぞれ158.4および73.4時間であった.しかし,-4°Cでは,少なくも2週間は増殖が認められなかった.分裂時間およびQ10からすると,0°C附近におけるわずかな温度の変化がこれらの菌の増殖速度にかなり影響するものと考えられた.

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